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読書の記録です。

「λに歯がない」

森博嗣/講談社

密室状態の研究所で発見された身元不明の4人の銃殺体。それぞれのポケットには「λ(ラムダ)に歯がない」と記されたカード。そして死体には歯がなかった。事件を推理する西之園萌絵は、自ら封印していた過去と対峙することになる。

今回は、いまいちでしたなー。
謎の提示と、可能性の検討まではとってもいい感じだったのですが・・・。ページ数が少なくなってきて感じた不安が、見事に的中しましたねー。現実には、事件が解決するきっかけなんて、こんなもんだろうとは思いますけれども。ええ、そのスジの情報からだと思いますけれども。・・・つまらんよー。ひねりがないよー。
あと、密室はお得意のジャンルのトリックで。きたきたきたーっ!と思いました。驚きも怒りもなく、ただ納得してしまったというか・・・。もう、これは森さんの特権ではないでしょうか。
萌絵さんの出番は増える一方で、海月とか加部谷の存在感が薄くなってしまっていたのが残念。犀川と萌絵をカルピスの原液だとすると、かれらはカルピスソーダみたいな薄さですから。霞むのは仕方ないかも・・・。おばさまが出てこないだけマシか。しかしながら、萌絵さんの内面に踏み込んだ場面があったのは良かった。最初から、メインをここに据えておけば良かったのでは・・・?


「人間って、結局は自分の人生しか知らない。自分の時間しか経験していない。すべては、それと比較して、それを基準にして、推論するしかないんだ」


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