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読書の記録です。

「アイネクライネナハトムジーク」

伊坂幸太郎/幻冬舎

ここにヒーローはいない。さあ、君の出番だ。奥さんに愛想を尽かされたサラリーマン、他力本願で恋をしようとする青年、元いじめっこへの復讐を企てるOL。情けないけど、愛おしい。そんな登場人物たちが作り出す、数々のサプライズ。

読書メーターの短文投稿がおもしろく、しばらくそちらで書いていました。パソコンを買い換えて、動作が格段に速くなったので、久しぶりにブログに浮上してきました。パソコンのご機嫌を伺わなくていいってスバラシイ・・・!
さて、浮上後の1発目は伊坂さん。表紙がステキだなあと思っていたのですが、話の内容はチェックしていませんでした。出会いをテーマにした作品があったり、恋愛要素が多めらしいです。
「アイネクライネ」佐藤の先輩・藤間の妻が子供を連れて家をでた。藤間はショックでパソコンを壊してしまう(とどめをさしたのは佐藤)。幸い、データのバックアップがとれていたものの、罰として佐藤は街頭アンケートを命じられる。佐藤くんが大学時代、あこがれていた女性が、大学を中退して結婚し現在は2児の母となっていることに、少し違和感を感じるシーンで時の流れの無常さを感じたり。主題は出会いなので、佐藤くんはこのあとあり得ない再会を果たしてハッピーエンドなわけですが、そんなありえねー展開などどうでもよく、私はこの話を読んで、できちゃったは大抵女性側の策略によるものだよなということと大学中退は良くないよと思ったのでした。
「ライトヘビー」美容師の美奈子は、客の香澄から弟を紹介される。電話で話す関係となった2人だが、彼の職業は・・・。「知人の紹介」にはいい思い出が無い私。これまたありえねー展開のハッピーエンドに若干イラッ。
「ドクメンタ」妻に出ていかれた藤間。免許更新日の期限が近づいて、1人の女性との出会いを思い出す・・・。銀行通帳にそんな使い方が・・・!という目からウロコでした。結婚したことないから、よくわかんないけど、直接謝ればいいのに。めんどくさい人たち・・・。
「ルックスライク」佐藤の友人・織田夫妻の娘が駐輪場の無賃駐車犯に立ち向かう!うーん、そんな手に引っかかる人がいるかなーと思ったけど、このありえないことをさらっと書くのが伊坂さん。朱美さんの、いつも主導権を握られててなんとなく嫌、というモヤモヤした感情がわかる。男女間に限らず、人間関係の中で役割分担が固定されるのはしんどい。期待されるリアクションをしなければならないとか。
「メイクアップ」結衣は高校のころのいじめっ子と再会する。これは復讐のチャンス?私は、いじめっ子と再会してもたぶんわかんないだろうな・・・と思う。三つ子の魂百までということで、根性悪い人はずっと根性悪いんです。復讐したってどうなるわけでもなし、自分は今幸せで相手は未婚で焦ってるという状況から溜飲を下げたんじゃないかな。結局、どっちのパターンだったんだろ?この本のトーンからいくと、不幸でない方のプレゼン落ちて騙されないパターン?
「ナハトムジーク」小野はテレビ番組の収録で過去の試合を振り返っていた・・・。これまでの総まとめという感じ。登場人物のその後とか。時系列が行ったりきたりで、こんな構成にする必要があったのかなと。
斉藤和義さんが好きとかボクシングが好き、あるいは伊坂作品が無条件に好きという方は楽しめるかも。どれでも無かった私は、いまいち乗れませんでした。


「あのね、歯車を舐めんなよ、って話だからね。」

「どの仕事だって基本的には、歯車なんだから。」


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