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読書の記録です。

「ピース」

樋口有介/中央公論社

埼玉の西部・秩父で起きた連続バラバラ殺人事件。事件を追う老刑事は、被害者たちが1985年の日航機墜落事故現場にいた少年少女であることを突き止める。「ピース」の意味が明かされるとき、すべてが繋がる。

バラバラ殺人事件は、ミステリーの題材の中でも、非常に魅力的な題材だと思います。日常の謎系ミステリーも好きですが、意外に猟奇的殺人事件も好物な私。いちいち注釈をつけるほどのことではないのですが・・・、念のために書いておくと、私は実際に死体を切り刻む以前に、現実に殺人事件を犯す感覚が理解できません。あくまで、フィクションを好んでいるということです。・・・いや、なかなか理解してもらえない機会が多くて・・・。実際いるんだよね、ミステリーやライトノベルみたいに益の無い本を本と認めない人って。まあ、私も本を読むことで何かを得ようという気持ちなんてさらさらないけれど、何かを得なければ意味が無いというのもおかしな話。
話はそれましたが、連続バラバラ殺人事件を、2方向の視点から追いかける構成です。定年間際のおじさん刑事の無駄話には辟易しましたなー。ベテランの勘と、粘り強い捜査で少しは見直しましたけれど。バーサイドの方、こちらはこちらで第二の主人公のバーテン君が、老成した雰囲気を漂わせています。そんな感じで、全体を通してだるさにも似た感覚を覚えました。緊迫した空気は、後半まで無いですね。
しかし、ピースのダブルの意味には唸らせられました。それで、殺害時にあんなことをしたんだ・・・。そして、衝撃のラスト。予想を裏切って、徹底的にやるところまでやりましたね。後半、平警官の詳しい描写が無ければ、勢いに乗って読めたのになあ、と思うと残念です。
ミステリーとは関係ありませんが、食事のシーンがとてもおいしそうで良かった。新鮮な生野菜は本当に、醤油をたらしただけで食べれるのかしらん。


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