忍者ブログ
読書の記録です。

「悟浄出立」

万城目学/新潮社

俺はもう、誰かの脇役ではない。砂漠の中、悟浄は隊列の一番後ろを歩いていた。どうして俺はいつも、他の奴らの活躍を横目で見ているだけなんだ? でもある出来事をきっかけに、彼の心がほんの少し動き始める。西遊記の沙悟浄、三国志の趙雲、司馬遷に見向きもされないその娘。中国の古典に現れる脇役たちに焦点を当て、人生の見方まで変えてしまう連作集。

沙悟浄がどんな大冒険をするのかな?と思ってたら、短編集だった。しかも、最初の1話だけだった・・・。「とっぴんぱらりの~」からがらっと雰囲気が変わって、中国のお話です。・・・わからん。
「悟浄出立」西遊記から沙悟浄。西遊記という話を知っているつもりだったけど、あくまで脚色された日本のドラマを見ただけで、本を読んだわけじゃないんだよなーと思った。猪八戒もただの豚の妖怪だと思っていたら、もともとは凄腕の軍師だったとか。ひねくれた傍観者であった沙悟浄が、物語に参加しようと一歩を踏み出した・・・といういい話なんですが・・・。最初に書いたとおり、私は大冒険を想像して読んでいたため、地味な話の展開に少々拍子抜けでした。意外にも悟浄って、悟空のことが好きだったんですねえ。
「趙雲西航」三国志より趙雲。もうわかりません。もう有名な諸葛孔明しかわかりません。話もなんだか入ってきませんでした。
「虞姫寂静」項羽の愛人である虞美人。四面楚歌のエピソードは知っていますが、その程度では到底話についていけるはずもなく・・・。しかし、虞美人の鬼気迫る舞がこの本の中で一番印象に残っています。まあ、私ならお言葉に甘えて、すたこらさっさと逃げますが。笑。
「法家孤憤」始皇帝暗殺の話ですかね?結局未遂に終わってしまうのですが、この下手人のケイカと同じ読みをするケイカさんが主人公。HEROのジェット・リーを思い出していました。ケイカの漢字、忘れちゃった。
「父司馬遷」司馬遷の娘。司馬遷は史記を書いた人って習ったと思うけど忘れてましたすいません。司馬遷も色々大変だったのねーと思いました。娘さんがぶち切れたところが印象に残っています。いつの時代も女は肝っ玉が据わっているのです。
万城目さんの中国古典への愛を感じて、中国史もおもしろそうだなあ・・・とは思いました。脇役がメインなだけに、聞いたことがある、知っているだけでなく、ちゃんと理解している人が楽しめる本なのだと思います。私がこのジャンルを読むのは当分先になるだろうなあ。


PR