「無銭優雅」
人生の後半に始めたオトコイ(大人の恋)に勤しむ、42歳の慈雨と栄。2人は今、死という代物に、世界で一番身勝手な価値を与えている。私は死を思いながら、死ぬまで生きて行く。今わの際に、御馳走さま、とひと言、呟くために。
大分前に、同じく山田さんの著書“風味絶佳”の感想の中で、年を取ればとるほど自分たちの世界で完結する恋愛はできない、的なことを書いたことを思い出した。
慈雨と栄の恋愛は、まさしくその真逆をいくもので、2人の世界だけで完結している。完結させようとしている、と言った方が正しいのかもしれない。死と結びつけて、恋をドラマチックに見せようとしてみたり、いい年して何をやってるんだか・・・という気分になる。私のイメージでは、40代っていったら、もう色々なことを経験して、自分の考えがしっかりと確立されていて責任も持てる自立した大人で・・・。アラフォーっていう言葉が流行って、40代間近の女性たちが今もっとも輝いている、という動きもあった昨今ですが、何だか別の意味で40代に対するイメージが覆されました。ううむ。何が大人の恋だ。全然子供じゃない。
そんな気持ち悪さを抱えていました。けれど、後半は、お互いの背負ったものを見せ合う時がきて、一歩前進したかな?という印象を受けた。妙齢の石川さんが、人生を楽しむ様は見ていて微笑ましいのだけれど・・・。
「若いものは美しい、しかし老いた者は若い者よりもっと美しい」
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