「百瀬、こっちを向いて。」
2股をかけている先輩に依頼され、百瀬陽という少女と偽装カップルになった僕。薄暗い電球のように、地味で目立たない僕は、女の子と手をつなぐことなんて生涯ないと思っていたのに・・・。表題作「百瀬、こっちを向いて。」他4編の短編集。
今はすでに周知のことらしいですが、乙一さんの別名義らしいですね。私は、毎日新聞の記事で知りました。私みたいに、情報源がネットじゃない人は、僕の作品を読まなくても結構結構コケコッコーとそういうわけですか、という気分になりました。じゃあ、もう一度トラブルがあったり書く環境を変えたくなったら、また別名義で作品を出すのかな?
グチグチはこのあたりにしておきましょう。
乙一さんの作品の魅力は、透明感だと思います。作品の内容はどうってことないんですが、無色透明の印象が世界観を特別なものに見せているような気がします。GOTH、ZOOも中身は真逆ですが、無機質な文体が世界観にマッチしているというか。
「百瀬、こっちを向いて。」映画化するらしいけど、2時間もつ?田辺くんが素晴らしい。
「なみうちぎわ」先生と生徒、と読むと禁断の香りがするが、なんだ4歳年下ってだけかと気がついた。
「キャベツ畑に彼の声」こっちが本当の教師と生徒!キャベツと恋心をかけるとは・・・、強引だけど嫌いじゃない。笑。あんまり教師と生徒のカップリングは好みではないのだけど、この2人はいい感じ。妹が実は・・・とか、そういう小細工はいらなかったと思う。
「小梅が通る」文章の間から、主人公の自尊心がぷんぷん漂ってくるようだった。友達に責められたのは、外見だけが原因?まわりの人だけが悪い?本来の自分を理解してもらいたいのならば、まずは自分が相手を理解しようとしなければならない。自分に都合のいい人間ばかりを求めていることが問題なんじゃなかろうか。まずはそのメイクを「ブスメイク」と呼ぶことをやめてはどうだろうか、と思った。友達がステキな人たち。彼女たちを見習うべき。結局、一番外見にとらわれているのは彼女自身。
うーん、なんだか作品もナナメ目線で読んでしまってるような・・・。しばらく、乙一さん関係の本は手に取らないでおこうと思います・・・。
「あんなやつ、知らなけりゃよかった。」
「ずっと他人だったならよかったのに。」
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