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読書の記録です。

「秋期限定栗きんとん事件」

米澤穂信/東京創元社

ぼくは思わず苦笑する。去年の夏休みに別れたというのに、何だかまた、小佐内さんと向き合っているような気がする。確実にエスカレートしてゆく連続放火事件に対し、ついに小鳩君は本格的に推理を巡らし始める。

「夏期限定トロピカルパフェ事件」で、決別した小鳩くんと小山内さん。その後9月に、小鳩くんは同級生の仲丸さんと、小山内さんは新聞部の一年瓜野くんと付き合うことになる。互いに別々のパートナーと過ごす2人だが、10月から続く連続放火事件を追っていく内に、再び会うことになる・・・。
マロングラッセ(仮)から、栗きんとんに題名が変わっているではないか。どちらでも良いのでは・・・?と思っていたのだけれど、最後の最後で「なるほど~」というオチがありました。どっちでもいいなんて、小山内さんに怒られるなあ。上下巻を一気に読み終わってしまうくらい、飽きない展開でした。ドラマチックな何かがあるというわけではない。私の場合は、小鳩くんと小山内さんがどのようにして再会するのか、そこが気になって気になって。だって、いきなり、2人とも別の人とすぐ付き合いだすんだもの。米澤さん、この展開はすごいっすよ。笑。
最終的に小鳩くんと別れた仲丸さんの言い分が、結構良くわかる気がする。3股じゃなくて。笑。やきもちを焼いて欲しい、あるいは、相手が少しでも自分に影響されて変わって欲しい、とか。何の変化も無かったら、私ってその程度の位置しか占めてないのか・・・って寂しくなると思う。最初の方は、結構小鳩くんウキウキしてるように見えたんだけど、パスタのくだりは、確かにいかんね。人間失格だね。一方の小山内さんサイドは・・・。よくわからん!小山内さんは、ミステリー度がアップしただけで、なんか全然親近感がわかないのだよー。私の好みの女の子ではないのよう。なんでだろう・・・。もう、瓜野くんは・・・、もう、いいや・・・(なげやり)。最後になっても、特にかわいそうとも思わなかったあたり、私もなかなか薄情だと思う。
連続放火事件については、新聞部の張り込みが入って、小鳩くんが乗り出してきたあたりからおもしろくなってきたなあ。放火の法則、と犯人をおびきだす作戦。ひっぱったわりには、真犯人はあっさりしすぎていて、そこは物足りなかった。結局、また、小山内さんの復讐劇だったのか!
いまさらだけど、小市民にはとてもなれない自分を認めた2人。卒業まであと半年。十分な裏ごしがなされるのか?冬期限定のスイーツはなんだろ。おしるこ?チョコフォンデュとか?


「甘いから、好きなの。それだけよ」


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