忍者ブログ
読書の記録です。

「誰か」

宮部みゆき/実業之日本社

財閥会長の運転手・梶田が自転車に轢き逃げされて命を落とした。広報室で働く編集者・杉村は、義父である会長から遺された娘二人の相談相手に指名される。姉妹の相反する思いに突き動かされるように、梶田の人生をたどり直す三郎だったが…。

お久しぶりの宮部さん。ミステリーのような。違うような。
あー、他人の人生をさかのぼっていくのって楽しい!(悪趣味)
わたくし、実生活では、あんまり他人の過去を詮索しない人なんですが、これが小説となると話が別です。宮部さんは、人物描写がくどいくらいに詳しくて、登場人物がそれぞれの人生をこれまで生きてきたんだなあ、と思わせてくれるところがいいと思います。梶田さんって、本当にいそうですよ・・・。
1人の過去を調べていくうちに、どうしても、生きていく上で関わった人たちの過去が明らかになっていく。それが例え、知られたくない過去であっても。ほのぼのとした展開に似合わず、血なまぐさい真相が意外でした。でも、私は好きだなあ。特に、実は死んでなかったりして・・・という思考がいい。さらに意外なことに、どろどろの修羅場でシメです。このあたりは、少女マンガみたいだな・・・。八つ当たりは醜い、と思ったり。三角関係って、傍から見てると、ただの意地の張り合いってことが多いです。きっと、誰か1人は決断を下しているはず。お姉さんには、ぜひともクールダウンしてもらいたいなあ。というか、縁を切った方がいいんじゃない?
と、書きつつも、幸せかどうかなんて、本人にしかわからない。当の杉村さんだって、誰かから見たら、肩身の狭い婿養子なんて嫌だと思われてるかも、だし。
だから、ほっとくべきだったんですよ、杉村さん。


「人の恋路を邪魔する奴は
 窓の月さえ 憎らしい」


PR