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読書の記録です。

「魍魎の匣」

京極夏彦/講談社

匣の中には綺麗な娘がぴったり入ってゐた。箱を祀る奇妙な霊能者。箱詰めにされた少女達の四肢。そして巨大な箱型の建物。箱を巡る虚妄が美少女転落事件とバラバラ殺人を結ぶ。

「この世には不思議なことなど何一つないのだよ。」(うろ覚え)
との言葉とは裏腹に、割りと不思議がてんこ盛りの京極堂シリーズ2作目です。
不思議だらけというわけではなく、前半の霊能者(宗教家?)のカテゴライズのあたりは理路整然としていましたが・・・。あと、殺人や動機に関する京極堂の持論展開も良く読む話で、魔のさす瞬間というのは大なり小なり誰にでも訪れるもので、ごもっともです、という感じ。壊れた精神状態の描写が素晴らしい。エピローグなんかツボでした。こう、ぞぞっとする感じで。
問題は、やはり、後半の謎解き部分・・・。うーん、ネタばれですので詳しい話は伏せますが、その状態で生きているわけが無いだろう、と。ファンタジーで、脳みそのホルマリン漬けに意識があるという話もありましたが・・・。下世話な詮索で、ファンの方からは怒られそう。
全体としては前作よりおもしろく、ボリューム(約680ページ)はありますが、中身もそれだけ濃いので長いとは感じなかった。1作目を超える2作目というのは珍しいですねー。3作目も少しインターバルを置いてから楽しみにして読みたいと思います。
榎木津さんがかなりいい感じ。能力は置いておいて、会話やら登場やらのタイミングが一番おいしいと思います。いいなあ。


「はははは、やっと僕等の素性を尋きましたね!普通は最初に尋くんです。何を隠そう、別に隠しちゃあいませんが、僕等は日本でも指折りの霊能者なのです。その名も御亀様。こちらがご本尊です」
一事が万事、この調子。笑。


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