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読書の記録です。

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「BG、あるいは死せるカイニス」

石持浅海/東京創元社

天文部の合宿の夜、学校で殺害されたわたしの姉。姉は誰かからレイプされかけたような状態で発見されたが、男が女をレイプするなんて、この世界では滅多にないことなのだ。捜査の過程で次第に浮かび上がってきた“BG”とは果たして何を指す言葉なのか?

あらすじを読んでいただければわかる通り、少し特殊な世界設定。人類はまず女性で誕生し、優秀な個体のみが男性へと転化することができます。男性化するためには、まず優秀であることと、出産を経験している必要があります。男性化した後は安定した生活を保証され、複数の女性と婚姻関係を持つことになります。まあ、そんなわけで基本的にこの世界での男性は女性に不自由することがなく、この世界でのレイプは、数の多い女性の方が集団で男性を襲うという意味で使われています。
・・・とまあ、こういうSF的世界観がOK!という方は読んでみるとおもしろいかもしれません。設定を生かした謎解きです。この世界じゃないと、起こらない事件だし、起こせない事件。まあ、下調べが色々あったわりには、謎を解くきっかけがつまんないけど・・・。
私はこの謎めいた題名に魅かれてこの本を手に取ったのですが、最後まで読んでなんとなく腑に落ちた気分。特にBGと男性化の社会問題の辺り、リアリティがありました。複雑な世界観だけど、良く練り込まれていたのでは。優秀とは何をもって優秀と言うのか、そこが一番しっくり来なかった・・・。あとは、性に関する感覚がちょっと違うかなあ。こればっかりは人それぞれでしょうね。
この世界の中で人類は、優秀な個体を残す為に、性転化というシステムを構築したけれど、私から見ると逆に弱体化しているように見えます。なんとなくですが。男性がみんな優秀であるならば、その子供も優秀であるはずだ、という仮定の上に成り立っているんですよね?そんなに優秀な人間だらけだったら、みんな男性化してるはずではないだろうか。生殖を繰り返しても、男性になれるほど優秀な人間がまだ一握りしか生まれないのならば、このシステムは失敗なのでは?


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