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読書の記録です。

「イン・ザ・プール」

奥田英朗/文芸春秋

「いらっしゃーい」。伊良部総合病院地下にある神経科を訪ねた患者たちは、甲高い声に迎えられる。色白で太ったその精神科医の名は伊良部一郎。訪れる人々も変だが、治療する医者のほうがもっと変。こいつは利口か、馬鹿か?名医か、ヤブ医者か。

2作目「空中ブランコ」を先に読んでいたのですが、さすが1作目、勢いは2作目と変わらず、伊良部ワールドにぐいぐい引き込まれました。
自分の本能に忠実に行動する伊良部先生がうらやましい!全員がこんなんだったら、世の中大変なことになっちゃいますけど。笑。こうありたいと思っても、周りの目は気になるし、大人として振る舞わなければならない、って潜在的に思っているんだよなあ。症状は極端だけど、抱えているストレスは、誰しも心あたりのあるものだと思います。
うーん、私は「いてもたっても」が一番近いかも。家を出た直後って、不安を感じる時が多いです。下宿してた時は、帰省する時がピークでした。笑。バスを一本遅らせて、ガスの元栓確認するためだけに帰ったりしました!結局ちゃんと締まってて、「なんだよー、ちゃんと締まってるじゃん。」って脱力したり。今でも、遠出をする時で、家族が早く帰らない時とか心配になります。「戸締り・・・。ガス・・・。電気・・・。犬のこと・・・。」まあ、その内どーでもよくなってしまいます。
うさん臭い伊良部先生ですが、彼のショック療法的助言(あるいは行動療法)は、意外にも的確だったりして、なるほどーと思わせてくれます。セクシー看護婦マユミさんも、ずばり!と切り込むセリフを言ったりしてカッコイイ。
精神科でなくとも、悩みやストレスを抱えているならば、誰かにぶちまけてしまった方がいい。現に、悩みの種が無くならなくても、それとうまく付き合う方法を見つけた登場人物たちの足取りは、以前より軽くなっているように思えます。


「不安なんです。メールが入ってこなかったり、一時間も着メロが鳴らなかったりすると、動悸が始まるんです。」
「ケータイ、捨てたら」
ナイスアドバイス。


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