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読書の記録です。

「幸福な食卓」

瀬尾まいこ/講談社

父さんが自殺を失敗した時も、母さんが家を出た時も、朝は普通にやってきた。そして、その悲しい出来事の後も。とっても切なくて、ちょっとおかしくて、あったまる長編小説。

家族のあり方には色々あって、外から見ただけじゃきっとわからない。
うちだって、人さまには言えないようなことがあります。
しかし、それにしたって、彼女の家庭は少し変。個性と言ってしまえば、そうなのかもしれないけれど。両親はもちろん、恋人に鶏をプレゼントする直ちゃんや、油の詰め合わせを持って挨拶に来る恋人のヨシコも変。そんな愛すべき変な人たちに囲まれて、幸せそうな主人公がうらやましかった。
後半のハードな展開にはびっくりしました。瀬尾さんは、なぜにこんなに痛い思いを淡々と書けるのかと感心してしまった。非常に客観的な感じがします・・・。不思議なことに、救いの無い結末だとは感じなかったんですよね。弟にマフラーあげただけで救われるわけが無い、とは思う。きっと、大浦君の国語力の無さと、瀬尾さんの冷静な筆致によるところが大きいのではないのかな。
食べるということは、生きるということだとは良く言ったものです。
ご飯は良く噛んで食べよう(関係ない)・・・。


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