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読書の記録です。

「夜市」

恒川光太郎/角川書店

大学生のいずみは、高校時代の同級生・裕司から「夜市にいかないか」と誘われた。裕司に連れられて出かけた岬の森では、妖怪たちがさまざまな品物を売る、この世ならぬ不思議な市場が開かれていた。

ホラーのなんかの賞をもらっていた作品。・・・アバウトすぎてすいません・・・。
まっ、とにかくホラーだよな。どう責めてくるか?と構えて読んでいたのですが、これが全然怖くない。夜市で、人間の生首が売られていようが、異形のものがいようが、それすらもファンタジック。暗闇に浮かぶ、夜店のぼんやりとした明かりが目の前に浮かぶようでした。そして、最後のどんでん返し!弟の思い、兄の後悔がなんだかせつなくてねー。何ともいえない、しっとりした読後感でした。
もうひとつのお話「風の古道」は、日常の隙間から、非日常(異世界)に入り込んでしまいます。「世にも奇妙な物語」を思い出しました。きっかけはいつもふとしたことで、もしかしたら、この次の瞬間、私は別の世界に入り込んでいるかもしれない、という少しぞくっとする感覚。こちらも最後にどんでん返しがあります。でもね・・・。やっぱり一番最後に残るものは、悲しさなのです。しんみりします。
うーん、ホラーにも色々あるんやなあ。見直すきっかけを作ってくれた平山夢明さんに感謝。気の向くままに、またホラー読みますぜー。


「いかなる奇跡を用いようとも、生を得るとはそういうことではないのですか?そのはじまりから終りまで、覚悟と犠牲を必要とする。」


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