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読書の記録です。

「DクラッカーズⅠ」

あざの耕平/富士見書房

7年ぶりに日本に帰国した姫木梓を待っていたのは、陰を持つようになった幼なじみの物部景と、彼がカプセルと呼ばれるドラッグを常用しているという事実。カプセルの真実の効力、それに秘められたキーワード。“鍵”がかみ合った時、梓の前に姿を表す世界とは!?

第一回龍皇杯でDクラッカーズを読んだ時、ものすごい衝撃を受けました。
当時私が抱いていたライトノベルのイメージと言えば、明るくて、楽しくて、ギャグがあって・・・みたいな感じだったのですが、これの全く真逆を行く作品だったのです。あとがきにも書かれていた通り、暗くて不気味で救いの無い物語。挿絵も暗くて、かわいい女の子が出てこないのが驚き(笑)でした。それが、何故か私のツボにはまったのですよ!終わり方なんか、もうしびれました。残念ながら、受賞は逃したのですが、その後文庫化された時は小躍りするほど嬉しかったのを覚えています。ところがですね・・・。こ、これが、全然印象の違うものに仕上がっていたのです・・・!挿絵は妙にかわいい感じになっちゃってるし、おちゃらけた雰囲気だし、何よりミステリー?文庫だし・・・(ここでも偏見)!がっかりを通り越して、腹が立ってしょーがなかったのです。ちくしょう、もう続きなんて読んでやるものか。と決意して幾年後。どうしてどうして、人間とは年と共に変わってゆく生き物です。何故か、もう一度読んでみようと思ったんです。前置きが長くなって申し訳ない。感想は・・・。
・・・うん、おもしろかった!
年月が経って、冷静に読めたというのが大きな原因だと思います。まー、挿絵はまだ受け入れがたいところなのですが・・・。千絵のキャラクターを受け入れることができたから、この物語を楽しむことができるようになったのかなあ、と思います。
長編ということもあり、世界観の広がりも魅力の内のひとつ。大きな組織に立ち向かう少人数、という構図は燃えますねー。あとは景ちゃんに、もっとぶっとんで欲しい~。カプセルを噛み砕くシーンが、病んでる感じがして、やっぱりいいなあ。
えーっと、いまいちだったーのが、探偵役・千絵嬢の推理がくどいこと!笑。畳み掛けるような物語の展開が、そこで滞ってしまっているような気がして、もったいなかったなー。小鼻を膨らませる千絵さんは、かわいいんだけど・・・。
2巻の3分の2くらいまで収録されていたのですが、1巻のシメよりも圧倒的にカッコイイ切り方ではないですか!これはぜひとも続きを読まねば。梓さんの伏線も気になるところ。
しかし、改めて富士見ミステリー文庫の方向性に首をひねらざるをえない。笑。もう、なんでもありやん。


「伊達眼鏡は変装の基本じゃない。」
確かに。確かに!


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