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読書の記録です。

「天使が開けた密室」

谷原秋桜子/東京創元社

行方不明の父親を捜すため、倉西美波はアルバイトに励んでいる。そのバイト先で高額の借金を負うハメになり困惑していたところ、「寝ているだけで一晩五千円」というバイトが舞い込んだ。怖がりだけど、一途で健気な美波が奮闘する、ライトな本格ミステリ。

収録されていた短編“たった、二十九分の誘拐”、覚えてたんですよ(大枠だけ)。これ、パクリちゃうん?と思っていたんですよ・・・。
そしたら、同一作者だったなんて!笑。「激アルバイター・美波の事件簿」!あー、そうそう、そういう題名がついてましたなー。ははは。懐かしいー。
その懐かしさと、おもしろさが直結しないのが残念。バトルロイヤルで読んだ当時から思っていたのだけれど、この短編、いまいちなんだよなあ。そもそも、この短編だけでは、美波が激アルバイターだということがわからない!笑。誘拐の目的はなかなか良かったんですが・・・。
そんな思い出は1冊読み終わったあとで思い出したことで、本編を読んでいる間は、まさか過去読んだことのある作品の登場人物だとは思いもしませんでした。一番驚いたのは、主人公が始めたのが、死体運びのバイトという点でしょうか。また、高校生でこんなヘビーなバイトをせんでも・・・。密室トリックは・・・ねえ・・・、ある程度使い古されているものなので、驚き、というよりは「ああ、やっぱり」という安心感の方が大きかったです。
謎解きよりも、良かったなあと思ったのが、美波が一生懸命仕事をする姿ですよね。バイトでも、正社員でも、働くってしんどいです。当たり前やけど。怒鳴られながらも、人をしっかり観察していたり、いいところに気がついたり、仕事中でも思いやりの心を忘れなかったり・・・。私も見習わなければなりません。若いころから色々苦労してると、人間の幅が広がりそう・・・。そんな美波さんの事件簿は、まだまだ続いていくようです。


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