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読書の記録です。

「カナスピカ」

秋田禎信/講談社

ある日突然、加奈の目の前にひとりの少年が現れる。彼の名は「カナスピカ」。高度2万6499キロから不測の事態で地上に落ちてきた人工衛星だった。カナスピカを宇宙へ還すため、加奈の奮闘が始まるのだが・・・。

人工衛星ミーツガール。
カナスピカの変形後の形態が、少年じゃなかったらどんな物語になっていたのだろう、と想像するのが楽しかった。無理だなんて思わなくて、きっと、少年以外だっておもしろいものが書けるだろうっていう期待が持てる。私の秋田作品に対する信頼は篤いぜ。
とはいえ、いきなりのハードカバーに、爽やか青春路線ときたので、さすがに多少不安を感じました。さわやか・・・。さわやか・・・?さわやかな作品なんて今まであったか?いや、無い!(即答)これは新境地だ!中学生の不安定な心。同級生との人間関係。狭い世界。そして、認めたくない恋心。しかも地球外生命体の作った口がライトの人工衛星に。笑。ああ、この辺が秋田さんだなー、という安心感も感じつつ。そして、いつの時代も母は偉大なのです。千里眼!やっぱり場数を踏んだ女は違うぜ。・・・ちょっと語弊があるか。
理屈っぽいところが無く、登場人物たちもいたってソフト(キャラが薄いとも言う)。このアクの無さが物足りなかったけれど、加奈が、カナスピカが好きだって気づくシーンはストレートで良かったし、別れのときは、私も一緒に涙しました。直球勝負の青春小説。万人にオススメできるのではないでしょうか。


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