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読書の記録です。

「心臓と左手」

石持浅海/光文社

玉城聖子は、十一年前に沖縄で起こったハイジャック事件の人質だった。沖縄にある進学校を見学に行った聖子は、那覇空港で命の恩人と再会を果たす。そこで明かされる思わぬ事実とは?警視庁の大迫警視が、ハイジャック事件で知り合った“座間味くん”と酒を酌み交わすとき、終わったはずの事件はがらりと姿を変える。

しゅ、守秘義務が・・・、という一冊。笑。
優しすぎるエンディングも、座間味くんの最後の粋な一言で、まあ、許せるかなという気持ちになりました。ほんとに上手い。拍手!
ええと、印象に残ったものを。表題作「心臓と左手」。猟奇殺人なシチュエーションが良い。しかし、その目的と利用方法が・・・。「クビツリハイスクール」(西尾維新)のほうが1枚上手。「罠の名前」。警察がコケにされたところがおもしろい。座間味くんの毒舌もなかなか。「沖縄心中」。今、沖縄の米軍基地が問題になっていて、興味深く読んだ。外部の人間がとやかく言うのは簡単だけど、その土地に暮らしている人には生活がかかっている。撤去してしまえば良い、だけの問題ではなく、非常に難しい。だから、先送りにされてきたのかもしれないけれど、なんとか解決できるいい方法はないだろうか。
最後の「再会」は、唯一、残酷な真実だと感じたのですが、それだけに感動も一番大きかったなあ。ただ、短編で許せた優しさを、長編で私が受け入れられるか非常に不安なので、長編はしばらく読めないだろうな・・・。
基本的に、大迫警部と座間味くんの対談形式プラス回想なので、動きはあまりないのですが、毎回おいしそうな料理が物語を彩ります。一夜干しとかホントにおいしそう。おなかがすいてきます・・・。


「わたしは抱きしめた。わたしの心にいつもいてくれる愛を抱きしめた。」


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