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読書の記録です。

「見えない誰かと」

瀬尾まいこ/祥伝社

「以前の私は人見知りが激しく、他人と打ち解けるのに、とても時間がかかった。社会に出てからも、わざわざ親しくもない人と一緒に何かするくらいなら、一人でいたいというつまらない人間だった。でも、」誰かとつながる。それは幸せなことだ。待望の初エッセイ。

著者の瀬尾さんは、中学校で国語の先生をしておられる兼業作家である。というさわりのプロフィールは知っていたけれど、10年の講師経験の後に採用試験に合格し、教師になられたということで、実は苦労人なんだなあ・・・と思った。しかし、このエッセイを読む限り、葛藤はあっても、愚痴っぽさが感じられない。私の瀬尾さんのイメージが、とても穏やかでマイペースなせいかもしれない。講師といえば、「図書館の神様」の感想で書いた友人は、見事採用試験に受かり、今春から学校で正式な先生として働いています。素直にすごいなあと思う。他にも何人か講師をしながら、先生を目指している知人がいるのだけれど、みんな大変だ大変だと言いながら、生徒との話を本当に楽しそうに話すのだ。私は、10以上年の離れた子達と、一体何を話すんだろう?と、もう彼らがエイリアンのように見えているのだけれど、彼・彼女の話を聞いていると、意外とかわいいところがあったり、ニュースやテレビの特番で騒がれるほど彼らはまだ崩壊していないんじゃないかと思うのです。むしろ、先入観という色眼鏡で見ているのは、私たち大人だなあと。
と、いう感覚に近い読後感。もちろん、学校の中のことだけじゃなくて、楽しい家族やおもしろい友人との体験談なども楽しめた。ミーハーおばあちゃんと、妹さんが好きだなー。これ以外にも、瀬尾さんは雑誌「ダ・ヴィンチ」でエッセイの連載をしておられたと思うのですが、あちらもぜひ読みたい!


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