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読書の記録です。

「木洩れ日に泳ぐ魚」

恩田陸/中央公論社

高橋千浩と藤本千明は、数年間一緒に暮らしたアパートで最後の晩を迎えた。二人とも、一年前に旅先で起きた一人の男の死の真相を知りたいと思っていた。ある一晩の、そしてその半生の静かな物語。

ある程度スパンを置いて読んだつもりだったのですが・・・。やはり、短期間に固まっていたせいか、食傷気味に感じてしまいました。しまった・・・!図書館で見つけると、ついつい嬉しくなって借りてしまうのです。
食傷気味に感じるっつーことは、いつもの恩田さん節全開だったということで。男女2人が交互で語る形式で物語は進んでいきます。1つの事柄に対するそれぞれの主観が読めておもしろい。2人の関係については最初はなんだこのわけありカップル、という印象が、まさか・・・、ホントに?、ええー、ああ、そう落ち着くか・・・。みたいな感じに変化します。どんな感じだ。
ある1人の男の死についての謎、は最後に思わぬオチがつきます。これはこれで・・・。という感じなのですが、気になったのは、事故後、警察に名前を聞かれたくらいだったというくだり。身分証明書を提示するようには言われなかったのかなあ、と。そしたら偽名だってばれて、なんで偽名なんか使ったんだ、って話になるよなーと。実際どんなもんかわからないですけど・・・。あと、換気扇のあたりが、ものすごーくご都合主義だ・・・。ありえん・・・。
終盤になって、障害が無くなったと感じた途端に愛情も未練もなくなった千明の気持ちがわかる。笑。女性に多い傾向だと思うんだけど、要するにロマンチストなんだろうなあ、と思います。千浩くんは、もうちょっとしっかりできないのか!決断力が無いのはいかんな!まあ、彼を甘やかしている千明もいかんのかもしれないけど・・・。だからこそ、最後の突き放し方にすっきりしました。本当に、終盤の彼女のあっさりさ加減は、薄情だなあと思いつつ、気持ち良かったりもするのです。


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