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読書の記録です。

「名前探しの放課後」

辻村深月/講談社

「今から、俺たちの学年の生徒が一人、死ぬ。自殺、するんだ」
不可思議なタイムスリップで三ヵ月先から戻された依田いつかは、これから起こる“誰か”の自殺を止めるため、同級生の坂崎あすならと“放課後の名前探し”をはじめる。

タイムスリップと言えば、タイムパラドックスを思い浮かべて、頭がこんがらがってしまうので、めっちゃ苦手なのです。今回は、時間が巻き戻ったのが3ヶ月と、割りと短期間。その間に、同級生が一人死ぬので、それを止めたいといつか動き出すのが物語の始まり。
辻村さんといえば、もう、青春!愛!みたいな思い込みがあって、それを裏切らない、非常にクサイ匂いがぷんぷんした出来上がりでございました。これ、褒め言葉です。友達のために、とか、好きな子のために、とか。まっすぐでシンプルな思いほど、言葉にして伝えるのが気恥ずかしくなってしまいます。ありがとう、なんか真面目に言うの恥ずかしくない?でもさ、辻村さんの物語に出てくる登場人物たちは、それをさらっとやってのけてしまう。実にうらやましい話です。
自殺をする人物とは一体誰だったのか?自殺は食い止められたのか?うーん、やはり、サプライズをそこに持ってくるか~。とうなってしまいました。しかも、郁也を始め、あの人この人が登場と、ちょっとうれしくなってしまいました。特に彼女が、とても素晴らしい女性になっていたことが良かった。そうなんだよ、柔らかく笑う感じなのよ~。しかし、みんな演技派だな。どこかでぼろが出てもおかしくないのに!
私も、あすなと同じく水泳を途中で投げた人間なので、練習の場面はすごく共感できた。今25m泳げって言われたら、絶対ムリ。でも、25m泳げるようになった、っていう気持ちだけは覚えている。あすなを見守るおじいちゃんが良かった。紳士は良い・・・。うっとり。
チャラい感じのいつかと、真面目で目立つことが嫌いなあすな。接点の無い2人だけれど、いつかが一歩を踏み出すことで、つながりができて、大きな輪になった。誰かとつながることって、こういうことなんだなあと思った。
やっぱり、あらゆる物語のテーマは愛なのだ!ということです。笑。



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