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読書の記録です。

「ヴァン・ショーをあなたに」

近藤史恵/東京創元社

フレンチレストラン、ビストロ・パ・マルのスタッフは四人。シェフの三舟さんと志村さん、ソムリエの金子さん、そしてギャルソンの僕。気取らない料理で客の舌と心をつかむ変わり者のシェフは、客たちの持ち込む不可解な謎をあざやかに解く名探偵。絶品料理の数々と極上のミステリをどうぞ。

本当は、順番通り「タルト・タタンの夢」から読みたかったのですが・・・。図書館で先に見つけてしまったので、まあ、仕方ない。結果的に、内容は2作目からでも問題なかったです。
フレンチレストランでの謎解き。色々な問題を、料理をきっかけに解決していきます。私は、小粋なフレンチレストランには無縁の人でして・・・。あんまりコース料理とか食べないんで・・・。料理に関しては、すごくおいしそうだけど、味が実感できないというなんとも残念な結果に・・・。
長編「新世界より(上)」を読んだあとだったので、さらりと読める本で良かったなあ。謎解きは、正直、ちょっと物足りない。けれど、読み心地はとても良い。レストランの名前、パ・マルはフランス語で悪くないという意味で、これをフランス人が使う場合は、褒めている時なのだとか。フランス人の気質や文化、料理の豆知識が織り込まれていて、そこがとても良いと思った。「錆びないスキレット」のオチはブラックで少しびっくりした。しかも、真実を知らないほうが良かったんじゃ・・・。「ブーランジュリーのメロンパン」は一番いいなと思った作品。ほっこりします。ブラン・ア・ポア・ルージュ(白地に赤い水玉)、なんて粋な名前の付け方をするのかしら!「マドモワゼル・ブイヤベースにご用心」。シェフの男っぷりがあがったお話。動揺するシェフは、なかなかかわいい。
後半3作品は、語り手がぼくから第三者に移行しています。叙述トリックのような意趣かなあとも取れるのですが、さすがに3作全部だと食傷気味かも。修行時代のシェフも良いけれど、やっぱりあと1作くらいはパ・マルの話が良かったなあ~。


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