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読書の記録です。

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「タルト・タタンの夢」

近藤史恵/東京創元社

下町の片隅にある小さなフレンチ・レストラン、ビストロ・パ・マルのシェフが、客たちの巻き込まれた事件や不可解な出来事の謎をあざやかに解く。定連の西田さんはなぜ体調をくずしたのか?甲子園をめざしていた高校野球部の不祥事の真相は?

パ・マルシリーズの1作目。すべての話が、パ・マルを舞台にしたもので良かった~。同じフレンチということで、どうしても「禁断のパンダ」と比べてしまいます。同じフレンチレストランをベースにしていても、料理の仕方でここまで印象が変わるのか!と。こちらはインパクトには欠けますが、最後には、ほっこりした気分で読み終えられるところが、いいところだと思います。シェフの粋な一言も好きです。
一番好きなのは「ガレット・デ・ロワの秘密」。奥さんにメロメロな志村さんが、かわいい~。好きな女性にメロメロな男性のお話は、大好物でございます。じゅるり。「割り切れないチョコレート」は、素数(ノンブル・プルミエ)がキーワードで出てきた時には、ちょっとときめきました。しかし、母のためというオチは、ちょっと好きじゃない。「オッソ・イラティをめぐる不和」で、チーズにジャムをつけて食べる、という習慣にびっくり。ワインとチーズの組み合わせを最初に試した人は、本当に偉いと思う!「ぬけがらのカスレ」では、恋人のすれちがいをシェフが取り持つ。だけどさあ、こんな回りくどいやり方、誰もわかんないぜ?
ソムリエの金子さんの俳句がまた、かわいい。「焼いて知る、タルト・タタンの高カロリー」ってな具合に。登場人物のキャラクターも掘り下げられていて、読む順番は逆になってしまったけれど、それがまた良かったかな~という気分になりました。
料理が、食べておいしい、だけじゃなくて、誰かにとって特別な意味を持つときがある。料理で語るシェフ、かっこいいです!


「「もうひとつ、いいことを教えましょう。カスレは煮返すと、おいしくなるんですよ。一日目よりも、二日目。二日目よりも三日目、とね」
だから、もしかしたら、恋だってそうかもしれない。」



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