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読書の記録です。

「カラスの親指」

道尾秀介/講談社

“詐欺”を生業としている、したたかな中年二人組。ある日突然、「他人同士」の奇妙な共同生活が始まった。失くしてしまったものを取り戻すため、そして自らの過去と訣別するため、彼らが企てた大計画とは。

久しぶりに道尾さんの本を読んだのですが、こんな感じだっけ?と違和感を感じました。伊坂さんの作風に似ているような気がするんだよね・・・。前はこんなこと思いもしなかったような。淡白でちょっと皮肉めいた感じの伊坂風よりも、前みたいに少しどろっとしている方が道尾さんの小説には合ってるように感じました。もっとホラーを!
語り口は違っていましたが、最後のどんでん返しは相変わらずでした。ここまで騙しますか?ってくらいに、今回もやられたー。これは、ミステリ読者としてネタバレしてしまうことはできない。ですが、ここで終わるのも寂しいので、少し続きます。
「やさしい嘘」がキーワードだと思ったくらい、最後はみんないい人で驚いた。だからこそ、色々エグいことが起こっても、後味の良い終わり方だったんだろうなあと思います。1冊で何回も騙されるのはこりごりですが、この終わり方は良いと思うのです。主人公は詐欺師のコンビなので、嘘をつく場面がたくさん出てきます。私、どこかでも書いたように、嘘をつくのが超苦手なので、騙すシーンは心配で仕方ないです。心臓に悪い・・・。
テツさんが、英単語を暗記しているという設定で、物語のアクセントみたいな感じで、英単語が出てくるわけですが、それがどうも・・・。いらないような気が・・・。こういう作為的な演出はナイス!と思うときも、もちろんあるんです!でも、今回は合ってなかったなあ。


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