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読書の記録です。

「六月の夜と昼のあわいに」

恩田陸/朝日新聞出版

よび覚まされる記憶、あふれ出る感情、たち上がる論理。言葉によって喚起される、人間のいとなみ。

不思議短編集。絵画と歌・詩と小説のコラボレーション。
良くわからなかったんですが、雰囲気だけで楽しんだ感じ。もともと、恩田さんの作品は、雰囲気勝負ですからね!(褒め言葉)
ジャンルでわけてみよう。
ミステリ色が強くて、比較的わかりやすかったもの。「唐草模様」唐草模様・風呂敷・蔦・コスモス。タイミングの良い死は、殺人を連想させる。「Y字路の事件」SFに近いかもしれない。なんとなくほのぼのした読後感。「コンパートメントにて」たまに、自分の考えていることが、だだ漏れだったら困るなあ、どうしようと思うことがある。他人の考えていることがわからなくて良かった。
人間風刺?「窯変・田久保順子」あったかもしれない未来。けれど、失われたのならば、残念ながらそれは無意味なものである。「翳りゆく部屋」「あたしなんか」と言う人に限って、実はそんなに駄目だとは思っていない法則。「酒肆ローレライ」気持ちのいいお酒なら、溺れ死んでもかまわないじゃない?でも、命までとらないのは慈悲深いなあと思う。
不思議な世界。「夜を遡る」大きい魚はグロテスク。設定が色々ぶっとんでいて、置いていかれていましたが、かろうじて兄妹仲が良いということは理解できた。
随筆っぽい。「恋はみずいろ」「約束の地」「Interchange」・・・何もコメントすることはない!


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