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読書の記録です。

「笑酔亭梅寿謎解噺4 ハナシがうごく!」

田中啓文/集英社

厳しいお笑いの世界で落語はどう戦っていくのか、本当の「芸」とは何なのか…!?竜二は数々の壁に阻まれながら、それでも落語の奥深さに魅了され、成長していく。

私の中の落語ブームもかなり前に去りましたが(←飽きっぽい)、このシリーズは続く限り読むぜ!師匠、今回も殴る蹴る怒鳴るのオンパレード。お元気そうで何よりです。笑。
今回は、大きく2つの展開があったかと。1つは竜二が年季明けを迎えて、梅寿の家を出ます(正しくは、追い出される)。2つ目は、梅寿師匠が大変名誉なアレに・・・!?という大事件。今回も、竜二は漫才と落語の間で揺れ動くわけですが、そろそろ落語一本でいく覚悟は決まったかな?
今回の収録作は、「二人癖」「仔猫」兵庫船」「皿屋敷」「猫の忠信」「鬼あざみ」「牛の丸薬」「ひとり酒盛」。梅寿師匠のライバルである線香亭不覚・不運師弟が新しく登場します。よくぞここまで陰気な名前を考えたな・・・と感心。竜二はまたもや浮気心を出し、チカコと一緒に漫才を始めます。竜二の芸事に関する才能は、ここでも発揮され、落語を辞めて漫才でてっぺん取ろうかなあと思ったりするのです。なんか、うらやましいな、竜二・・・。あとは、落語のCD化を巡るあれこれ。落語を録音してCDなりカセットなりデータなりで、商品とするのは、普通に行われていることで、特に何の疑問も感じていなかった。落語だって、演劇だってなんだって、本当は生で聞くのが一番だって分かってる。でも、全部生で聞くって現実問題無理な話であって。誰でも手軽に楽しめるという点で、いいことだと思うんだよなあ。まあ、当の落語家たちは野心丸出しで足の引っ張り合い。醜い・・・。今回ええ人やなあと思ったのが、「皿屋敷」の桂ぼんぼん師匠。ぼんぼん故の余裕か、それにしてもお人よしすぎる。
竜二の年季が明けて、ボロアパートに引っ越したあたりがおもしろかったー!とうとう独り立ち。次は何が起こるのか、楽しみ。人を泣かせるよりも、笑わせる方が数倍難しい、というのが私の持論でして。どっかんどっかん笑いをとる竜二(もちろん他の師匠方も)の才能はきっとすごいんだろうなあ。
梅寿師匠、めちゃくちゃやって、かき回してる割には、ちゃっかりおいしいところを持っていってるよな・・・。影の主役・・・。


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