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読書の記録です。

「大きな音が聞こえるか」

坂木司/角川書店

八田泳、高校一年生。そこそこ裕福でいわゆる幸せな家庭の息子。唯一の趣味はサーフィン。凪のように平坦な生活に自分を持て余している。だがそんな矢先、泳は叔父がブラジル奥地へ行くと知らされた。さらにアマゾン川の逆流現象(ポロロッカ)で波に乗れるという情報を聞いて・・・。小さな一滴が大きな波紋を生んでいく、等身大の成長物語。

耳が聞こえないサーファーの話だと思ってたら、全然違う話でした。あらすじを何かで読んだはずなんだけど、覚え間違いしてたみたい・・・。
高校生が主人公のお話は、最近も読んでいます。
「桐島、部活辞めるってよ(朝井リョウ)」「オーダーメイド殺人クラブ(辻村深月)」。あの、狭い教室が全ての世界だったころ。痛々しくて苦しくて早くここを抜けだしたいと思っていた、あのころ。2冊とも、若者の閉塞感を描きながらも、最後にはきらりと光るものが見えた良作でした。
で、この本がどうだったかというと、主人公の泳くんに全く共感できないまま終わりました。500ページを超えるボリュームも、バイト~アマゾンというボリュームを考えると致し方ないのですが、長かった・・・。疲れた・・・。泳くんは、確かにつまらない日常に閉塞感を感じていたかもしれないけど、それは、つまんないよーつまんないよーって子供が駄々をこねているだけで(あ、子供か)、何かもっと心の暗部に踏み込むものが欲しかった。
泳くんがどう成長しようが、どうでも良かったんですが(ひどいけど、この人全てが上手くいきすぎでしょ。笑。)、まわりの大人たちが魅力的だったと思います。ヴィンチ号の乗り組み員とか。泳くんのお父さんが一番すごいと思うんだけどなあ。お父さんのすごさに気付いたときが、彼が大人になったときかもしれないですね。彼は海外と日本を比べて、日本をすごく小さく思ったかもしれないけど、それは文化の違いで、日常が違うだけ。どこがどこに劣っているというわけじゃないってことに気付いていたらいいんですけど。日常を普通に生きるということが、実は一番大変なんじゃないかと思う今日このごろです。
現地の女の子との、一夜限りの関係を美化しすぎているのはどうかと思う。神聖だ、素晴らしいと言ってみたところで、結局はただの遊び。・・・古いかな?いやいや、もし自分に子供がいたら、絶対にはりとばしてる。


「It’s natural.」

「So,adult is full of pleasure.」


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