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読書の記録です。

「夜の国のクーパー」

伊坂幸太郎/東京創元社

この国は戦争に負けたのだそうだ。占領軍の先発隊がやってきて、町の人間はそわそわ、おどおどしている。はるか昔にも鉄国に負けたらしいけれど、戦争に負けるのがどういうことなのか、町の人間は経験がないからわからない。人間より寿命が短いのだから、猫の僕だって当然わからない・・・。これは猫と戦争と、そして何より、世界の理のおはなし。

長い上に、退屈でした。
この一言で終わるのも寂しいですね。・・・なので、ちょいと付け足し。
主人公は、仙台の公務員と、パラレルワールド?の猫。仙台の公務員は、海釣りに出かけてそのまま遭難。流れついたのが、とある国の海岸。目覚めたときには、男は蔓で拘束されていた。そこに話しかけてきたのが、猫。この猫はある国に暮らす猫なのだが、その国が戦争で鉄国に負け侵略の危機にさらされている。このままでは、自分達の生活が脅かされる。で、なんか光る石(?)が武器になるってんで、馬に乗ってここまできたらしい。
伊坂さんファンで、なんでもウェルカム!っていう人はそこそこ楽しめるかもしれません。しかし、初期の伊坂作品が好きな人には、もう、無理でしょう。笑。私は、伊坂さんの本の何が好きなのかなあ、と考えたときに、スカッとする痛快なところが好きなのかなあと思いました。しかし、最近の伊坂さんの本って、楽しむより考える?方向性のような気がします。それはすごくいいことなんですけど・・・。こう、もっとにじみ出てくるものが欲しいんですよね・・・。
伊坂さんの作品の中では、登場人物たちのちょっとお洒落なセリフの掛け合いが特徴的だと思うんですけど、これがだんだんスタイリッシュになりすぎて、ほんとにただの「台詞」になってるような印象を受けました。物語はフィクションなので、登場人物も話している内容だって全部作り物だってことは分かってます。分かってますが、まるで話している人間(あるいは猫や鼠)の表情が想像できない。能面みたいな顔が浮かんで、不気味さすら感じました。
ところでクーパーは、私もいないと思ってました。でも、途中でクーパーと戦うシーンが出てきて、「あら、やっぱり実在するんだわ」と思ったら、やっぱりいないっていうオチでした。あのシーンは夢か幻?
色々言いつつも、また読むんだろうなあと思います。それだけ前の作品はおもしろかったんだよ!残念なんだよー。


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