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読書の記録です。

「苦手図鑑」

北大路公子/角川書店

居酒屋の店内で迷子になり、電話でカジュアルに300万円の借金を申し込まれ、ゴミ分別の複雑さに途方に暮れる・・・。思わず笑いがこみあげる、キミコさん(趣味・昼酒)の日常をつづったエッセイ集。

「野生時代」で読んだエッセイがおもしろかったので、いつか本になったら読もうと思っていたのでした。思い出して良かった。
久しぶりに読んでも、やっぱりおもしろかったです。ネタ・・・というよりは、日常のばかばかしいことや、不条理なことを語る切り口が独特だなあと思います。おもしろかったのをいくつか。
「扇風機」扇風機をつけると、紙がばさばさしてうっとうしい!ということを公子さん風に表現するとこうなる。若鳥は思いつかなかった・・・。「歩く」「なぜだ?なぜこんなに太い?」私もそう思っています。私流・足を太くする方法は「自転車で坂道をこげ」ですね。「おでんの記憶」最初から少なめに作ればいいのでは・・・と思ったけど、無意識に大量のおでんを作るのも業のうちなんですかね。そうなんですかね。「ホラー映画」ホラー映画の世界で生き残るコツは、無関心ですよね。シャワーの時も、背後への警戒は怠らずに!っていうか、シャワーに入らなきゃいい。「ある一日」私も骨が刺さったと思って、耳鼻科に行ったら何もなくて診察が秒速で終わり、待合にいたカップルに「診察終わるの早すぎ」と鼻で笑われ、「耳鼻科にカップルで来るんじゃねえよ」と心の中で毒づいたけど、ただのガラの悪い夫婦かもしれなかったなあということを思い出しました。骨が刺さったかどうかのジャッジは難しい。「方角」厨房を走り抜けたくだりがおもしろすぎる。引き返さないのか!その時、板前さんたちも動揺したに違いない。笑。「やぎさんゆうびん」うっかりお手紙食べちゃった☆エヘ☆という歌ではなく、抗い難い本能と友情との間で揺れ動く葛藤を描いた歌だったのですね!これはこぶしをきかせて歌わねば。「ぱなし人からの挑戦状」北大路家の人々はおもしろい。うちには、靴下を丸めて入れる人がいなくて良かったなあと思いながら読んでいた。ていうか、うちは洗濯する前に洗濯もののチェックをしないので(とりあえず放り込む)、父親の携帯は2回ほどご臨終されています。
「チーズ」「チーズ石けん期時代のことを私は懐かしく思い出す。あの頃世界は美しく、そしてシンプルだった。世の中はチーズと非チーズ界にきっぱりと分かたれ、我々はチーズの姿を常に目視することができた。」という語りが好きです。笑。公子さんとは逆で、モッツァレラチーズと思って食べたら豆腐でがっかりしたことがあります。トマトが添えてあって、上にバジルとか乗せられたら、そりゃチーズだと思いますわな。味噌汁に見えて実はチーズ。麺に見えて実はチーズ。マジでそんな時代が来るかも。
電車の中で読まなくて良かった。


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