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読書の記録です。

「少年検閲官」

北山猛邦/東京創元社

旅を続ける英国人少年クリスは、小さな町で家々の扉や壁に赤い十字架のような印が残されている不可解な事件に遭遇する。奇怪な首なし屍体の目撃情報も飛び交う中、クリスはミステリを検閲するために育てられた少年エノに出会う。書物が駆逐される世界の中で繰り広げられる、少年たちの探偵物語。

北山さんの本も色々気になっているのです!ああ、もっと早く読めたらなあ・・・(切実)。
実は、名探偵・音野順シリーズの方を読みたかったのですが、本の題名をよく覚えてなくて(すいません)、えいやっと借りてきたら見事に違うシリーズでした。いつものことです。中身ちゃんと見ればいいのにね。
気をとりなおして、「少年検閲官」シリーズから読み始めることにしよう。
この世界では、書物は禁忌とされ見つかったら燃やされます。家ごと焚書です。そのため、人々はその昔「本」というものが存在したことは知っていますが、実物を見た人は数少なく、本ってどんな形してるの?という人がわらわらいます。現実、本ってなあに?ってことは無いので、何か想像しにくいシチュエーション・・・。しかし、後になって「本ってどんなもの?」という疑問が大きく関わってきます。主人公は、ミステリを探して世界を旅するクリス(イギリス人)。クリスが何故日本に来たかというと、日本には焚書を逃れたミステリが、数多く眠っていると考えられているためです。で、まあ、「ミステリ」と聞けば本を連想しそうなんですが、この場合のミステリはミステリのエッセンス(トリック?)を詰め込んだ「ガジェット」と呼ばれる宝石。クリスは立ち寄った村で事件に巻き込まれるのですが、そこでこのガジェットを処分する「少年検閲官」エノに出会うのです。
冒頭では、目を切り裂かれた少女と少年の話が。幕間では少年が拾った「少女」がだんだんと原型をなくしていく様子が描かれます。不思議な雰囲気で、ちょっとグロくて・・・。でも、少女は実は○○だったということが、謎解きで明らかになると、「なーんだ」ってな感じなんですが・・・。人間を間引くように、定期的に人を殺し首を切り取っていく「探偵」。本来事件を解決するはずの探偵が犯人。その正体も意外でしたが、犯人の目的も意外でした。本がない世界ならではの動機ですね。でも・・・、人間に行き着く前に、草とか葉っぱとか樹皮とか・・・いろいろあったんちゃうん・・・と思わざるをえない。結構なインパクトでした。
おっと、そういえばクリス君はなぜ「ミステリ」を探しているんだっけ?お父さんの何か・・・あったような・・・。と本筋をド忘れ。


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