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読書の記録です。

「天使はモップを持って」

近藤史恵/実業之日本社

オペレータールームに配属された梶本大介。その社内では奇妙な事件が発生する。オフィスを騒がす様々な"日常の謎"を女性清掃作業員のキリコがたちまちクリーンにする本格ミステリー。

先に続巻を読んでいたので、最終話の叙述トリック(と呼んでいいのかな?)は通用しませんでした。というか、すでに私の脳内ではキリコは大介の嫁さんなので、「何やってんの」という感じ。前もって知らなくても、ばればれと言えばばればれ。
一種の安楽椅子探偵。その閃きはどこからくるのやら。何かが降臨したとしか思えない・・・。
気に入った短編は、唯一ブラックな空気をかもし出している“ロッカールームのひよこ”。世の中には様々な人がいるのだなあ。犯人は私とは相容れないタイプの女性ですが、そのしたたかさが気に入りました。
それにしても、なんて物騒な会社なんだ。もはや<日常の謎>の範疇を超えていると思うのですがー。


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「紅牙のルビーウルフ 2」

淡路帆希/富士見書房

5つめの神具“全知の書”が見つかったという知らせを受け、トライアルに赴いたルビーウルフとジェイド。彼らを待っていたのは、美しい銀髪を持つ少女、キアラだった。

2作目は残念ながらいまいち・・・。
前巻の良さはそのまま。語り口は軽快で読みやすく、ルビーさんも男前ですってきー、且つわんわんもかわいいのです。ですが!それだけでは飽きちゃうのですよー。
“神具”と、それを信仰する概念が今ひとつしっくりこない世界観。本と剣と水晶とマントと何だっけ?なんかが揃えば、神が復活するってさ。うーむ。なんてお手軽な神様・・・。この世界に無神論者はいないのか。
結局どうしたいの?という話の流れになってきているような。えーっと、国を繁栄させることが目的だったっけ?
基本的にみんな善人だから物足りないんだよなー・・・。長編シリーズを目論んでいるのなら、魅力的な悪役は必須条件でしょう。1巻の影のうすーい人を出されても・・・。正直、最後までこの人誰?って感じでした。盛り上がろうにも盛り上がれない。あとは世界地図が欲しいところ。文だけでは全体像が掴みにくい。
癒しを求めて読んだのですが、やはり心がすさんでいる時に、優等生な本を読まないほうが良かったかも。自分のリアリストな面が浮き彫りになって余計沈んだ。がくー。


「煉獄のエスクード 3」

貴子潤一郎/富士見書房

ある高校で教師や生徒の失踪事件が続発。捜査を開始した深津薫は旧校舎の地下で魔獣ケルベロスの遺骸を発見する。魔術師ルーシアと共に魔獣を調べるが、遺骸に仕掛けられた魔法によって二人は謎の光に飲み込まれてしまった。

こっ、これがウワサのツンデレ娘・・・!(違います)
コンタクトはそんなに簡単につけ外しできないと思うのですが・・・。ケースとか保存液とか持ち歩いてるんでしょーか。眼鏡とコンタクトを使い分ける設定にした意図が良くわからない。
構成がわかりやすいだけに、読者の立場としては、登場人物がカラクリに気付くのが遅すぎてイライラしたり。主人公が元の世界に戻ってこれないわけがないので、最後まで一番気になっていたのが、長谷川司祭の生死だったというのは内緒の話です。絶対死なないだろうと思っていた登場人物の一人なので。いやいや、ご無事で何よりです。
真澄さんが登場したのは嬉しいのですが、やはり使徒なのねーと感じる表現が多々あり複雑・・・。でも、実は魔族がそんなに嫌いではない自分を再発見しつつあるのです!自分の欲望に忠実に行動しているところとか、独自のポリシーを持ってるところとか、結構好きです。アロマさんは今後どうからんでくるのでしょうかね。
最後に残念だったのが、挿絵がパワーダウンしていたこと・・・。涙。


「新リア王」

高村薫/新潮社

近代日本の「終わりの始まり」が露見した永田町と、周回遅れで核がらみの地域振興に手を出した青森。政治一家・福澤王国の内部で起こった造反劇は、雪降りしきる最果ての庵で、父から息子へと静かに、しかし決然と語り出される。

最近本の更新がいつにも増して少ない一因でございます。
実は“晴子情歌”を読了後、すぐに読み始めたのですが、あまりの難解さにつまずきまくりで、息抜きのつもりが3冊も間に挟んでしまいました。仏教パートはまだ読めたのですが、政治パート(ほぼこちらがメイン)はきつかった・・・。地方政治、東北、原発。政治に得意分野なんてないけど、この話は特にさっぱりわかんないや。アホ丸出しの感想になりますので、政治についてはノーコメントで!と逃げさせていただきます。
さて、手紙という媒体を介していた前作と違い、今作では父と子が対話するスタイルで語られています。漁船員だった彰之が仏道の世界に入ってからの話。ますます世間離れしています。というか、親子でこんな真面目な話をするということがありえない。窒息死しちゃうヨー。やはりお家柄でしょうか・・・。
あとは、やっぱり人に対する執着が理解できない。ううむ。
後半、変死だったり、あの刑事さんが登場したりで、ミステリ心をくすぐられましたが、次がミステリーということはまずありえないだろう、と思います。ロマンチックにまとめた最後には少し不満が残ります。
次は読みやすいといいな・・・。

ところで、表紙を見て「ダヴィンチ・コード読んでるん?」と聞かれたのですが、どう見てもこれはモナ・リザではありません。果たしてモナ・リザに失礼なのか、おじいさんに失礼なのか・・・。
それ以前に、私がそんな話題の本を読んでいるという事自体がありえない。


「緋の剣は誰がために」

秋田みやび/富士見書房

精霊使いの少年セレストは、姉スーザに連れられ旅に出る。そこで出会った不思議な少女テュシアは、世に知られていない紫の結晶珠(マグナ)を持っていた。

DM誌上で連載されていた作品を本で買うのは、自分にしてはかなり珍しい。藤田香さんの挿絵が気に入ったから・・・もごもご。不純な動機で申し訳ない。私はTCGで遊んだことが無いのですが、どれも世界観がとてもおもしろそうです。昔ホーリィ好きだったのですが、これも絵師の桜瀬琥姫さんが好きだったせい・・・。カードの絵は重要なのですよー。
連載時は、テンポが良くて最終回も「えっ、もう終わり?」と思ったくらいだったのですが、まとめて読むとそうでもなかったよ・・・。あれ?
こまめに精霊と契約するとか、石版がいるとか、色々めんどっちいなあ精霊使い・・・。スーザやラーゴゥみたいに、剣をぶんぶん振り回す方がすかっとしそう。エルバニーさんは剣・・・なのかな。バニーなのに!かわいいのに!
もうねー、後半ジェイドにむかついてむかついて、しょうがなかったですよ。あんないい子を騙すなんて!まったく。セレスト君にはぜひ強くなってスーザも取り戻して、奴をぎゃふんと言わせて欲しいですね。ぎゃふんと!


「たわけ。ピヨ」
グリモルディは永遠に小鳥に降ろされていて欲しい。かわいい・・・。