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読書の記録です。

「薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木」

江國香織/集英社

様々な女性、あるいは男性の恋愛模様・・・みたいな感じ?

恋愛小説は、どれだけ共感できるかーっていうのがおもしろさのバロメーターではないかと思う今日この頃。今作はどうだろ・・・。草子に近いかもー。
幸せで何も問題がないように見える彼らですが、口に出さないで心にしまった言葉はいっぱいあるわけで。裏側が見えてきたあたりから、突然おもしろくなってきました。性格悪いな、自分。中でも慎一が2人の女性によって、全然別の印象で捉えられていて、おもしろかった。含みのあるエンディングも気になりますが!
うちは日常的に花を買う習慣が無いので、それだけで生活がおしゃれに見える・・・。花を飾る空間も無いしな。
久しぶりに花屋に行ってみたくなる一冊です。


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「暗闇をおいかけろ」

日本推理作家協会編/光文社

世界に、あるいは人間自身の中に存在する「闇」に迫る短編集。
うーん。苦手な作品が多かったです!
なんか、いつの間にか終わってた置いてきぼり感と、尻切れトンボで「だから何?」と言いたくなるイライラ感が混ざったような。ホラーはやっぱりつまんない。
そんな中で、いいんじゃないかと思ったのが、「Closet」(乙一)「印字された不幸の手紙の問題」(西澤保彦)「妬忌津(ときしん)」(森福都)。


「七度狐」

大倉崇裕/東京創元社

「季刊落語」編集部は間宮緑と牧大路の総員2名。新米編集者・緑は牧の代わりに春華亭古秋一門会の取材を命じられるが・・・。
オーソドックスなミステリー、という感じ。そつが無い代わりにインパクトに欠けるというか。
でも、私はこういう裏切られない展開というのも好きですよー。読後はともかく、読んでる間は楽しいし。
それにしても、私は安楽椅子探偵というものがどうも好きになれない。「事件は現場で起きてるんだー!」と叫ばずにいられるワトソン役達は、ある意味えらいです。
落語は「時そば」くらいしか知らない私ですが、わかりやすかったです。たまには落語を聴きにいくのもよろしいかもー。


「ユージニア」

恩田陸/角川書店

遠い夏、犯人の自殺で幕を閉じた大量毒殺事件が歳月を経て再び甦る。
どこか幻想的で、すぐ物語に引き込まれます。夢の通い路(Ⅰ)のラストなんか、トリハダものです。
途中まで、こうだろうなあという予測は立つのですが、それは表面的なところで、もっと奥には一体何があるのだろうかと考えさせられます。断片をつなぎ合わせる作業がおもしろい。途中何度も前のページに戻りました。
おもしろかったー。おすすめです。

K市にはかつて住んでいたことがあるので、少し懐かしく感じました。


「モップの精は深夜に現れる」

近藤史恵/実業之日本社

清掃作業員の少女、キリコが事件と働く人の悩みを解決するお話。
掃除をする人なだけに、ゴミがきっかけなことが多い。目のつけどころが違います。考えてみれば、ゴミって情報の宝庫ですよね。
「ほかに代わりがいるかもしれないけど、それでもここにいたいの。だから、いいの。代わりの人に取られないように、一生懸命やるの。」
好きな一言です。大体の仕事が自分以外でも代替可能なわけで、自分がいなくなっても何も変わらず仕事は流れていくし、続いていく。そう考えるよりも、彼女のように考えた方が確かに気持ちは楽かも。
じめじめした日が続きますが、この本を読んで、ぜひさわやかな読後感にひたって下さい。