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読書の記録です。

「なぎなた」

倉知淳/東京創元社

完璧だったはずの殺人計画を徐々に崩壊へと導いてゆく、“死神”を思わせる風貌の警部。米大統領選挙の熱狂の最中、勃発したひとつの殺人事件。たくらみに満ちたミステリ・ワールド。

ミステリーを読みたい、とにかく読みたいモードに突入。
こちらは、寡作で知られる倉知さんの新刊!しかも2冊同時刊行!これは買うしか・・・!と意気込んで買ったものの、すぐに図書館に並んでいるのを見てガッカリ。そんなに人気無いのかなあ・・・。
シリアス系とコミカル系があるそうで、どっちがどっちか知らなかったんですが、表紙が好みの方から読むことにしました。こっちはシリアス系だったようです。猫丸先輩に馴染みがあるので、ちょっと新鮮な感じ~。
「運命の銀輪」スタンダードなミステリー。コロンボタイプのミステリーは、犯人がどのポイントでボロを出すかという点がキモだと思います。まさかの暗記力に足元をすくわれるとは・・・。死神警部、優秀かもしれませんが、職場では浮いてそうですよねえ。
「見られていたもの」注意書きが?。別に気分は悪くならなかったです。なんか、ものすごいことが起こるのかと思ってました。こう、平山夢明さん級のすごいのが。笑。男性パートは余分っていうか・・・。あ、でもこれがないと、本格ミステリにならないのか・・・。
「眠り猫、眠れ」猫愛にあふれた一編。もうね、あたしゃ、こういう動物ものに弱いんだよう。泣かせてくれるなよう。ミステリーというよりは、しっとりした親子愛。猫愛。つまるところ、すべての物語は愛なのです。
「ナイフの三」実はシリーズものの予定だったと聞くと、あの女の子の正体が俄然気になってきます。実はいいとこのお嬢様とか。真犯人はそっちのけ(笑)で、とにかく目の前の謎が解ければオッケー。というスタンスが倉知さんだなあと嬉しくなりました。
「猫と死の街」こちらも真犯人そっちのけパターン。笑。そう、「ねこちやん」さえ無事なら何でもいいやと思った私も、かなり猫愛に影響されてますな。ピラフって命名したセンスが素敵すぎる。
「闇ニ笑フ」ざっと感想サイトを見た限り、一番人気がこちら。私の感想はというと・・・、美人はやっぱり得だなあと思いました。まる。・・・は冗談として!ラスト一行でのどんでん返しは、うまく決まると美しいですよね!実写のミステリーではこの種類の美しさにはあまりお目にかかれないような。ぱっと思いつくのは「ユージュアル・サスペクツ」(映画)くらいかなあ。
「幻の銃弾」翻訳モノという設定で書かれたという背景もあって、いつもの倉知作品とは雰囲気がだいぶ異なります。銃声がしたのに、銃創も銃弾もみつからず、死因は全身をくまなく踏まれたこと。謎はとてもおもしろく、わくわくして読みましたが、最後にやたらとエンゼルホッパーがキザでうっとうしかった。笑。エンゼルホッパーのくせに!
あとがきで、本格ミステリの入門編を書くという使命感を持っている・・・というようなことが書いてありました。私は、大学生の時に倉知さんと井上夢人さんの本を読んでミステリーの世界へ足を踏み入れました。倉知さんのその心意気のおかげで、たくさんのおもしろい本に出会えたのだなあと思うと、感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございます。
倉知さん・・・、おやすみなさいって言いながら、永眠しないで下さいね!次の新刊、お待ちしてます!


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「レンタルマギカ 竜と魔法使い」

三田誠/角川書店

強すぎるいつきの“妖精眼”の力に“協会”は禁忌の力という疑いをかけ、監視役フィンを派遣する。時期を同じくして、地中深くに封印されていた最強の魔法生物が覚醒を始める。

続きまして、長編です。長編は3本目!
社長が失踪してから、休業状態だったアストラルも、最近の活動を受けて協会から注目されるようになります。特に、いつきの<妖精眼>は禁忌を犯している疑いがあることに。ここで、影崎さんから担当がフィンという青年(少年?)にチェンジ。
フィンはかつて魔術学校で穂波と一緒にケルト魔術の研究をしていた人。そして、今回穂波をかどかわす黒幕であります。フィンも実は<妖精眼>の持ち主で、普段はマジックアイテムのコンタクトで隠していたんですなー。挿絵を見る限り、いつきの<妖精眼>は、コンタクトでどうこうできるものではなさそうなんだけど。笑。幽霊屋敷で竜と遭遇してから、別の何かが棲みついた?せいなのかな?今後も、物語に絡んできそうな人ですね、はい。
穂波がどうして、ケルト魔術を志したかというと、すべてはいつきの<妖精眼>を治すためだったんですね。いつきを幽霊屋敷に連れていったりしなければ・・・という後悔をずっと抱えてきた。幼なじみだったことも、伝えられずにいた。だけど、いつきは穂波だけが悪いのではなく、一緒に背負うものだとそう諭します。・・・天性の女殺しだね、アンタ・・・。
今回、猫屋敷さんの先輩である、アストラルの契約社員・隻連さんが登場します。密教と体術を組み合わせた肉体派!私好みのタイプではないですか!これで、「~でござるよ」しゃべりじゃなかったら、もっと良いのに~。
いつきを巡る恋模様は、まだ動きを見せないけれど、たぶん穂波が有力かなあと思います。私はアディさんがイチオシ!穂波も一本筋の通った関西弁少女で、萌えポイントはあるのですが・・・。やはり、若くしてゲーティアの首領となったアディの覚悟とか、きりっとしたところがカッコいいなあと思うのです。頑張って欲しいなー。いつきは、草食系と言うよりは、最近良く聞くクリーミー系男子っぽいなあ。子犬キャラ・・・。


「ううううう、猫は天国、この世は地獄。願わくば、このまま毛皮に包まれて締め切りのない国へ行きたい・・・。猫大明神さま、猫大王さま、その温かく柔らかく崇高な肉球でどうぞ私を迎え入れて下さい・・・・・・」
今回の猫屋敷さんによる猫賛美。



「レンタルマギカ 魔法使い、集う!」

三田誠/角川書店

魔法使い派遣会社「アストラル」に舞い込む依頼はさまざま。今日はどんな依頼者が訪れる?アストラルの日常を描いた短編集その1。

今度はこのシリーズに白羽の矢を立てましたぜ。pakoさんのイラストが好きなんです~。これもかなりの長編シリーズ・・・。
短編は、「ザ・スニーカー」に掲載されたものをまとめたもの。この巻のお話は、時系列で長編1巻と2巻の間に当たるそうです。そういえば、黒羽さんはいつの間に登場したのかと思っていたような・・・。ここでか!
「魔法使い、貸します!」1巻でケガをしたいつきが入院した病院での話。学校と病院に怪談はつきもの?ソウル・イーターが暴走して、それを退治。黒羽さんをアストラルに勧誘。なぜ、いつきはこんなにもモテるのだ!?あと、おばさんとはいえ、男女が同じ病室になることはまずありえないと思うのですが・・・。
「魔法使いと花泥棒」冬中夏草のお話。卸しの業者さん登場です。マジックアイテムの植物といえば、マンドラゴラを思い出しますねえ・・・。ハリー・ポッターの影響かしら・・・。実際に菌が寄生するのは、人間ではなく昆虫だそうです。<妖精眼>ってこんなにしょっちゅう使って大丈夫なのかなあ?と心配しちゃいました。結局、4話中3話で眼帯とってますよねー。
「魔法使いと夏祭り」みかんのお仕事。神道関係ということで、日本の神話が関わってきます。みかんの実家は、色々わけありのようで、今後もちょこちょこ出てくるのかな?前から思ってたんですが、ショート丈の浴衣が、もはや浴衣ではないように、丈の短い巫女服も、もう巫女服と呼ばないのでは・・・。巫女服にランドセルという取り合わせに、一体何人のマニアが喜んでいるのか?少し興味があります。
「魔法使いと肖像画」こちらは、アディと猫屋敷さん。ある肖像画が怨波汚染を引き起こしているという仕事に、アストラルとゲーティアが入札をして・・・。という話。絵を見たものは自殺をする、という今では怪談のような話。けれど当時(戦中?)は、自ら死ぬこともできず苦しんでいた人々もいて、彼らにとっては助けになっていた。その時代の必要悪だったということですね。私は猫屋敷さんが好きなので、活躍していようがいなかろうが、猫屋敷さんがからんでいれば、それで満足でございます。エサの量は減っても、グレードが落ちなくて良かったね。笑。


「鋼殻のレギオスⅥ レッド・ノクターン」

雨木シュウスケ/富士見書房

「ニーナは現在、行方不明だ」その瞬間、レイフォンは心の中でコトリ…となにかの音がしたのを感じた。その間にも、夥しい数の汚染獣がツェルニに向かって一直線に向かってくる。一方、グレンダンを発ったリーリンは途中で立ち寄った学園都市・マイアスで奇妙な事件に巻き込まれる。

小隊対抗試合が終了して、この巻から第2部が始まったそうです。リーリンはツェルニを目指し、ニーナは姿を消し、レイフォンはまたもや悩む・・・。私はそこまでレイフォンはニーナに依存しているとは思っていなかったので、この展開には違和感を感じました。一応、彼も彼なりに考えて戦うことを選んできていると思ってたんだけど。そうじゃないと、いままでの5冊分ずっとコバンザメ状態だったのかよ!ということになりません?それはあまりに主人公として虚しい・・・。
ツェルニの現状については、廃貴族がニーナにとりついた瞬間、ツェルニが廃貴族の支配から逃れたのではなく、ツェルニもニーナにとりついて、廃貴族の力を中和していたから、都市は精神体を失って暴走していたということかなあと思ったのです。しかし、廃貴族の意思が都市を汚染獣の群れに向かわせている、という前回の話からすると、今回も状況は一緒なので、やはり廃貴族の支配下にあるんでしょうか・・・。謎・・・。ツェルニは相変わらずピンチの連続で、レイフォンとカリアンは人語を操る汚染獣との対話に成功したけれど、ここでも謎の言葉が・・・。オーロラ・フィールド?、人類保全プログラム・・・???これについてもフォローは無く、ただ出してみましたくらいの感じ・・・?
まあここまでは演出としてもだ!一番不可解だったのはニーナ!ツェルニから姿を消したニーナは、リーリンが足止めされていたマイアスという都市に現れます。なんでマイアスかというと、縁とか呼ばれたとか言ってまして、ニーナ本人は納得しているようだったのですが、私には全くわからん!体が透明になってワープしたり、ツェルニに本体があるような発言をしてみたり。ディック先輩って誰だ!笑。もう、苦笑いしかないという状況。あとがきの通りならば、短編を読んでないとわからないところがあるそうで・・・。・・・。
短編とのリンク、大いに結構です。しかし、文庫になっていない短編を読んでいないと、本編がわからないというのはいかがなものか。自己満足で終わっちゃだめよ!同人誌じゃなくてプロなんだから!
最後に熱いニーナ隊長が帰ってきたので、少しは救われました・・・。
クールダウンするために、レギオスとはしばしの別れ。


「より強い意志を、決意を、邁進することを恐れない心を。」

「わたしにあるものは、ただそれだけしかない。」


「鋼殻のレギオスⅤ エモーショナル・ハウル」

雨木シュウスケ/富士見書房

対抗試合の最終戦、ツェルニ最強の第一小隊との決戦を前に、ニーナは全メンバーでの合宿を計画した。合宿最後の夜、レイフォンはナルキ、料理当番として参加したメイシェンに呼び出されるが、足場が突然崩れ落ちる。

第十七小隊への残留を決意したナルキ。メイシェンが天剣授受者という言葉を知っていたこと。レイフォンは、いつか、自分の過去を彼女たちに話すことになると予感していた。
メイシェンも、レイフォンの過去を知るところとなり、少し距離が縮まったかな?というところ。レイフォンを巡る女性陣の中で、一番不利なのはメイシェンなんですよね~。普通なら、守ってあげたいキャラで有利になりそうなところなんですが・・・。残念ながら、ラノベで超ニブイ男には受け身タイプがヒロインになることはあんまり無いような気がするなあ。だから、何があろうとメイシェンに勝ち目は無いのだよ・・・。一番有利なのは、幼なじみポジションのリーリンかな。とうとうアクションを起こしましたし!次点はクールビューティーのフェリさんかしら。我らがニーナ隊長は、レイフォンに惹かれてはいるんだけど、ツェルニを守ることが一番!という思考に変化があったら進展もあるかも?・・・今のところの予想はこんな感じで~。
そんなうはうはハーレムのレイフォンは、まさかの事故で怪我。一般人がいるところで、剄を使うと危険~というのが、いまいちピンと来なかったけれど・・・。結構な重傷で、試合には出場できず。その代わりというわけではないけれど、シャーニッドの誘いに応じて、シェーナが第十七小隊に加わります。このメンバーで第一小隊と対戦することに。結果は惨敗・・・。武芸者の体のしくみが、一般の人間とは違うとは感じていましたが、治療の話とか手術の話になるとさらに人間離れしているように感じます。なんか・・・できすぎっていうか・・・。もう、人間ちゃうやん・・・。
ディンから去った廃貴族がまたも暗躍しています。今度は、ニーナに!隊長ピンチ!ハイアは使い捨てキャラかと思ってたもんで、また登場したことに少し驚きました。傭兵団のメンバーも出てきたりして。
レイフォンは、彼なりにどうしたら都市に溶け込めるのか考えているのだけれど、武芸者として生きるのかどうかも定まっていないし、5巻読み終えても、ふらふらしている印象が拭えません。強いのに、決断できそうな問題で苦悩しているところが、レギオスの持ち味なのかなーと思いますが・・・。いい加減イライラしますね・・・。笑。


「傷つくのを恐れるのは間違った行動ではないよ。だけど、傷つかないものに美しいものがないのも確かだ。」