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読書の記録です。

「猫島ハウスの騒動」

若竹七海/光文社

30人ほどの人間と100匹を超える猫が暮らす猫島。そこで、猫の剥製にナイフが突き立てられる事件が発生する。その3日後、マリンバイクで海上を暴走する男の上に人間が降ってくるという異常事態が! ユーモラスでシニカルなコージー・ミステリー。

どっかでも書いたのですが、ウチは猫が飼えません。最近、猫と触れ合えるお店に行きたいのです・・・。道端の猫には逃げられるし・・・。
ところが、この猫島では、猫とのふれあいがいっぱいなのです!猫にとってもパラダイスだけど、猫好きにとってもパラダイス!お賽銭だってはずんじゃいます。ああ、本当にあればいいのにー。
という、和み系の事件なのかと思いきや、意外に生々しい(笑)事件でした。離島で生活する上での問題点なんかがあって、ちょっと考えさせられたりしました。後半は、台風の大騒ぎがあり、なんだかばたばたしている内に終わったなあ、という感じだったのですが、筋が通っている解決だったので、良かったのではないでしょうか。最後の絨毯オチなんか、好きなんですけど。うん、私もぜひ彼に真相を教えてあげて欲しいと思う。
一番最後まで残ったのが、「修学旅行で一体何があったの!?」っていう疑問なのですがー。若い2人にそんなこと聞く方が野暮ってもんなのでしょうかね。


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「天使が開けた密室」

谷原秋桜子/東京創元社

行方不明の父親を捜すため、倉西美波はアルバイトに励んでいる。そのバイト先で高額の借金を負うハメになり困惑していたところ、「寝ているだけで一晩五千円」というバイトが舞い込んだ。怖がりだけど、一途で健気な美波が奮闘する、ライトな本格ミステリ。

収録されていた短編“たった、二十九分の誘拐”、覚えてたんですよ(大枠だけ)。これ、パクリちゃうん?と思っていたんですよ・・・。
そしたら、同一作者だったなんて!笑。「激アルバイター・美波の事件簿」!あー、そうそう、そういう題名がついてましたなー。ははは。懐かしいー。
その懐かしさと、おもしろさが直結しないのが残念。バトルロイヤルで読んだ当時から思っていたのだけれど、この短編、いまいちなんだよなあ。そもそも、この短編だけでは、美波が激アルバイターだということがわからない!笑。誘拐の目的はなかなか良かったんですが・・・。
そんな思い出は1冊読み終わったあとで思い出したことで、本編を読んでいる間は、まさか過去読んだことのある作品の登場人物だとは思いもしませんでした。一番驚いたのは、主人公が始めたのが、死体運びのバイトという点でしょうか。また、高校生でこんなヘビーなバイトをせんでも・・・。密室トリックは・・・ねえ・・・、ある程度使い古されているものなので、驚き、というよりは「ああ、やっぱり」という安心感の方が大きかったです。
謎解きよりも、良かったなあと思ったのが、美波が一生懸命仕事をする姿ですよね。バイトでも、正社員でも、働くってしんどいです。当たり前やけど。怒鳴られながらも、人をしっかり観察していたり、いいところに気がついたり、仕事中でも思いやりの心を忘れなかったり・・・。私も見習わなければなりません。若いころから色々苦労してると、人間の幅が広がりそう・・・。そんな美波さんの事件簿は、まだまだ続いていくようです。


「クジラの彼」

有川浩/角川書店

「沈む」んじゃなくて「潜る」。潜水艦とクジラと同じだから。
人数あわせのために合コンに呼ばれた聡子。そこで出会った冬原は潜水艦乗りだった。いつ出かけてしまうか、いつ帰ってくるのかわからない。そんな彼とのレンアイには、いつも大きな海が横たわる。

有川さんって言えば、私、最初男の人やと思ってたんですよねえ。ダ・ヴィンチで写真見てびっくりしました。実際、作品を読んでみれば、すごく女性的な感じがするのですが。
さて、前回読んだ、「レインツリーの国」もラブストーリーでしたが、それ以上の甘さで攻めてきた今作。入り込むまでがしんどかったです・・・。私の場合、恋愛小説はいつも、始めがしんどいんですねー・・・。ただ、入った後は、身悶えしながら楽しみました。この、ツンデレっぷりが、たまらないないのよう!強いけどかわいいって、反則だよなあ。
舞台は自衛隊。主人公は、自衛官たち。いくらなんでも、自衛官は恋愛なんてしないとは思いませんが、こんなに障害が多いとも思っていませんでした。大変そうだわー。
「ファイターパイロットの君」「国防レンアイ」「クジラの彼」がすきだなー。飛行機にときめく光稀さんが、かわいい~。あれですね、男の胸キュンは、女でもキュンとしちゃいますね!笑。「空の中」「海の底」からのスピンアウトの作品もあったということで・・・。「図書館戦争」シリーズはいつか読もうと思ってたけど、まさか圏外の作品にまで興味がわくことになろうとは、思ってもいませんでした。気持ちよく思惑に乗ってやろうじゃないのさ。この商売上手!


あけおめ~

私のバイオちゃんが昇天して3ヶ月後、無事ボーナスも支払われたので、念願のニューバイオちゃんを購入しましたー。ぱちぱちぱちー。

ビスタですよ!なんだかお洒落な感じの動作ですよ!(気のせい)

安売りが白しか残ってなくて、そこだけが残念やなー。白は汚れるから!・・・という理由で、白のコートが買えなかった私。マウスも白いです。ああ、純白ってコワイ・・・!

この3ヶ月、色々ありましたが、変わらず本は読んでいました。思い出せる限り、感想をアップしたいと思います。本人と同じく、のんびりしたブログですが、どうか今年もひとつよろしくお願いします。

「フィッシュストーリー」

伊坂幸太郎/新潮社

「なあ、この曲はちゃんと誰かに届いてるのかよ?」売れないロックバンドが最後のレコーディングで叫んだ声が時空を越えて奇蹟を起こす。デビュー第一短編から最新書き下ろしまで、小気味よい会話と伏線の妙が冴える伊坂ワールドの饗宴。

なんだか記憶が曖昧なので、作品間のリンクを見直すために、文庫化された本を再読していきたい今日この頃。この作品にも、きっと私の気づいていない繋がりがあるんだろうなあと思うと、情けない気分になります・・・。ノートとかつけようかしらん(真面目)。
さて、伊坂さんの短編集は、「死神の精度」ぶりかと思います。久しぶり~。「死神の~」では「あと一押し!」という感じでしたが、この作品は書いた時期がばらばらにも関わらず、大変満足のゆく構成だったと思います。ミステリ的要素も見逃せないのですが、人間模様が特に良かったな!私は時々、伊坂さん作品に出てくる登場人物に疑問を感じることもあって、いまいち入り込めないなあとか、スタイリッシュだけどスカしててむかつくなあとか、思う時があります。今回は、あまりそういう点が目立たず、のたうちまわってる人が多かったような。笑。かっこ良くない伊坂作品も良いではないか。
好きな作品は、大勢と同じく「フィッシュストーリー」。いいなあ。最後はトリハダが立ってしまいました。何かが少しずつつながっていくっていいなあと思います。自分が生きる意味なんてそれだけでいいじゃないかと思ってしまう。残せなくても、つながっていけば。あとはー。「サクリファイス」とか。閉鎖された空気も好きですが、題名にsacrifice(いけにえ・犠牲)という単語を持ってきた所がスキー。
あと一冊(終末のフール)で、伊坂さん作品を制覇できそうです。新刊まだ出るな~。というわけのわからん念を送ってみる。