「きつねのはなし」
細長く薄気味悪い座敷に棲む狐面の男。闇と夜の狭間のような仄暗い空間で囁かれた奇妙な取引。私が差し出したものは、そして失ったものは、あれは何だったのか。端整な筆致で紡がれ、妖しくも美しい幻燈に彩られた奇譚集。
今までの森見さんの作風とは違う感じ?と思わせておいて、細かいエピソードが積み重なっていくところは、いつも通り~なモリミー節がきいていました。では、各話の感想をちょろりと。
「きつねのはなし」天城さんと古道具屋・芳連堂の店主ナツメさんの話。この天城さんという人が、物々交換が好き?な人。人畜無害そうなナツメさんが、意外にしたたかであったことに驚いた。能面もこわいと思ったけど、狐面もこわいなあ・・・。
「果実の中の龍」先輩と結城さんの話。ほら吹きの先輩が愉快だった。でも、嘘の話って、やっぱりどこか悲しい気持ちになるよね。
「魔」剣道少女萌え・・・!
「水神」男4人兄弟の話。私の中で、4人姉妹といえば「木曜組曲(恩田陸)」。4人兄弟といえば「有頂天家族」。森見さんの書く兄弟の関係がステキなのです。
読み終えて一番記憶に残っているのは、雨の匂い。それも、暗い夜にしとしと降る感じ・・・。
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