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読書の記録です。

「ごはんぐるり」

西加奈子/NHK出版

「初デートでは何を食べるのが正解?」から始まる男と女の食をめぐる正解シリーズ、幼い頃のカイロでの食生活、大阪のDNAがうずく食べ物たち、世界のめずらし料理実習記。“何でも美味しい、幸せな食オンチ”の作家が綴る、弾ける食エッセイ&書き下ろし短編食小説「奴」。

西さんの著作は読んだことがなくて、勝手に恋愛小説かなーと思っていた。このエッセイも、あらすじに「初デートでは~」とかあるので、恋バナがメインなのかなあと思いながら読んでみたら、全然違うテイストでした。なんていうか、大阪人の歯切れの良さ感が全開で、さっぱりとしたお話が多かったです。ちなみに西さんは、イラン生まれのエジプト、大阪育ちと国際的な生い立ちですが、ご本人も書かれているように、大阪人でいらっしゃいます。私も関西圏の人間なんですが、大阪と関西って別モンですからね!誤解のないように!笑。大阪の人は、確実に勢いが違うなあーと思います。
さて、ごはんにまつわるお話です。印象に残ったのは、エジプトでの食生活。ごはんの中に石が混ざっているので、ごはんの掃除から始まるそう!また、エジプトでは生食が危険。飛行機の手荷物で持ってきた生卵で作る、「たまごかけごはん」は絶品。中東地域の食生活って、良く知らなかったけど、想像以上に過酷ですね。豚ダメとか牛ダメとかそういうレベルじゃないわ。今は食材が手に入りやすくなっているといいけど・・・。そんな中で、家族のためにおいしいごはんを頑張って作り続けた西さんのお母さんがすごいなあと思います。母の愛ですね。
あとは、悪食話。西さんは、麺がスープを吸ってのびてのびまくった物体が大好物なんだけど、これが見た目も味も一般的に「あかん」ということがわかっているから、大好きな旦那さんの前で食べられない!と。これはわかります!っていうか、もだえる西さんがかわいい。笑。テレビでも「あかん飯」っていうのやってたましたよね~。大好きな見栄えの悪すぎる食べ物。きっと、誰にでもあります。ちなみに私は、納豆かけごはんでしょうか・・・。私はいたって普通のつもりなんですが、嫌そうな視線を感じます。「うわー・・・」という効果音も聞こえます。
食の正解シリーズは、私にはちょっと良くわからない・・・。しかし、コンパでウーロン茶とか時間のかかるカクテルを頼む女はダメらしい・・・という話を思い出した。ビール嫌いな人はどうしたらいいんだ。まあ、何にせよ、不正解だらけの私には耳の痛い話でした。
後半の世界のごはんシリーズはネタに困ったのか?と思っていたら、やっぱりそうだったようで。エッセイでルポが出てくると、大抵ネタに詰まってる感じがします。文章で読むとおいしそうなんですけど・・・。日本人向けにアレンジされた料理がやっぱり一番おいしいなーと思ってしまいます。食でも保守派・・・。
なんだかおもしろそうな方なので、本もおもしろそう!(そしてベタな恋愛モノではなさそう)今度は小説をひとつ、読んでみようと思います。


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