「ぬいぐるみ警部の帰還」
殺人現場にぽつんと遺されていたぬいぐるみ。ぬいぐるみは、何を語る?イケメン警部・音無の密かな楽しみは、ぬいぐるみを愛でること。遺されたぬいぐるみから優れた洞察力で事件解決の手がかりを発見する。そしてその音無にぞっこんの則竹女史。さらにミステリオタクの江角刑事や若手の桂島刑事など、個性派キャラが脇を固める、連作短編集。
読んだことがないくせに、西澤さんの作品はキワモノが多いと勝手に思い込んでいます。ぬいぐるみを愛でる警部の変態さ加減もきになりつつ、ぬいぐるみかわいい・・・と思って借りてきたのですが、そこまでぬいぐるみぬいぐるみしていませんでした。意外に硬派な感じでした。というか、音無警部、もうちょっとハジけててもいいんじゃないかい?
印象に残ったものを・・・。
「ウサギの寝床」ぬいぐるみが謎解きのキーになっています。被害者の女性は、いつ殺されたのか?なぜ、全裸なのか?海外に行くお祖母ちゃんが、金庫の中身を被害者である孫から守るため、ぬいぐるみと入れ替えておいたところ、女性の恋人の方が金庫の番号に気がつき、開けてしまったと。そしてぬいぐるみを見てバカにされたと思った恋人は、女性を殺害。というオチでした。女性ではなく、恋人が金庫を開けた・・・という謎解きの流れは結構きれいなんじゃないかと思いました。
「レイディ・イン・ブラック」意外な犯人!画家志望の男が、アトリエで殺された。男は、憧れの女性の面影を持つ、押鐘由美子という女性にモデルを依頼するが断られていた。由美子さんは事件とは本当に関係がなく、彼女の息子がお小遣いかせぎにモデルとして通っていたことが判明する。しかし、真犯人は第一発見者のお隣さん。たびたびお金を盗みに入っていたところを見つかっての犯行だったようです。それにしても、女装バーで働く息子って・・・。
「誘拐の裏手」妻を誘拐したと犯人から電話があった。取引先に行ったが、妻は転落死してしまう。介護ヘルパーとして家に来ている女が犯人だと考えた男は、彼女のアパートに押し入り、女を絞殺してしまう。ウィスキーとセットで置かれたぬいぐるみから、謎解きするわけですが、もはやぬいぐるみである必然性がないし。笑。自殺志願者が結託して狂言誘拐に見せかけて、自分を殺すよう仕向けた・・・という真相はなかなかおもしろい方向性だと思います。うーん、でも、なんかそういうことする必要があったのか、よくわからないです・・・。則竹さんの妄想が炸裂。笑。
ぬいぐるみをきっかけに事件が動く・・・短編集にしようとされたのかな、と思ったのですが、1話目の「ウサギの寝床」以外は、ちょっと苦しい感じがしました。続編は厳しいかもですね・・・。
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