忍者ブログ
読書の記録です。

「アラビアの夜の種族」

古川日出男/角川書店

聖遷暦1213年、偽りの平穏に満ちたカイロ。訪れる者を幻惑するイスラムの地に、迫りくるナポレオン艦隊。対抗する手段はただひとつ、読む者を狂気に導き、歴史さえも覆す一冊の書。

分冊とどっちにしようか迷ったのですが・・・。ハードカバーで正解でした。上下2段組&約600ページは「ああ、大作を読んだなあ・・・」という気分にさせてくれました。形から入る私らしい感覚です。笑。通勤では読めないけどな!
翻訳本とは知らなかったので、読み始めは非常に不安でしたが、とても読みやすかったです。表現が日本語に近い。舞台はエジプトで、不勉強な私はおそらく物語の何割を本当に理解することができたのか、非常に怪しいです。・・・ま、まあ、難しいことは置いておいて、ひとつのミステリーとしてとてもおもしろかったですよ!ズームルッドの話と、現実の話が交互に展開していく構図は飽きなくて良かった。特に後半になるに従って、現実(カイロ)サイドの話が気になって気になって仕方なかったです。終わり方は、うーん、どちらのストーリーもすっきり終わった方ではないかなー、と思います。
あとですね、各所に細かいツボがありまして。訳者の古川さんが、原作に対するコメントや見解を()でズバッと述べている箇所があったりして、率直でとても好きでした。物語も、全体的にはシリアスなのですが時々「これコント?」っていう会話や行動があったりして笑えます。えー、例えばファラーと村の長老(?)との会話とか。アイユーブの裏切りっぷりとか(またかよ!と何度つっこんだことか)。
物語はひとつの罠として、人を魅了してやまないものとして描かれています。ああ、わかるなあ。昔は徹夜とかしたなあ、と本読みさんは共感しちゃうはず!現在の私は、睡眠>食事>読書の優先順位なので、今のところ命を落とさずに済みそうです。いや、告白すると、アイユーブたちに習ってこの本を夜更かしして読もうと計画してたんですけどね。・・・毎晩読み始めて30分後には寝てました・・・。いつの間に瞼がこんなに重くなったのやら。


PR