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読書の記録です。

「横溝正史自選集〔1〕」

横溝正史/出版芸術社

旧本陣・一柳家の長男・賢蔵と克子の結婚式が執り行われた夜、夫婦は無残な惨殺死体となって発見される。不気味な琴の音、血みどろの日本刀、三本指の男の手形が示すものとは?(『本陣殺人事件』)。

図書館で見かけて、思わず手にとってしまいました。金田一シリーズを読んだのも遠い昔の話。未読の方が多いのです。こちらには、「本陣殺人事件」と「蝶々殺人事件」の2編が収められています。
「本陣殺人事件」は、金田一耕介のデビュー作。金田一さんは、色々な方が実写で演じられていますが、私の脳内では古谷一行さんなんです。だって一番汚いじゃん(失礼)。なので、青年とか書いてあると、すごく違和感を感じます。そっか若いんだ金田一さん・・・。密室トリックやミスリード(いかにも怪しい男等)は、予想の範囲内でしたが楽しめました。しかし・・・、動機が・・・。極端やなあ・・・。
「蝶々殺人事件」は、別シリーズ。探偵・由利先生と新聞記者・三津木君のコンビが主人公。トリックは「本陣~」と比べるとこちらの方が込み入っている印象を受けます。構成もこっちの方が好きかも。いかにも怪しいがために、怪しく見えない謎の人物が登場するのはお約束ですが!
トリックとか、そんなにめちゃくちゃすごいことやってるわけじゃなく、少し強引なくらい。しかし、戦後という混沌とした時代を背景に、おどろおどろしい世界観は独特のものだと思います。「本陣殺人事件」なんか、もう、出だしから金田一ワールドの匂いがぷんぷんしています。少し読んだら、「あ、金田一耕介だ」とわかる作品を確立した横溝さんはすごいなあ、と改めて思いました。


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