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読書の記録です。

「ソロモンの犬」

道尾秀介/文藝春秋

さっきまで元気だった陽介が目の前で死んだ。愛犬はなぜ暴走したのか?飄然たるユーモアと痛切なアイロニー。青春ミステリー傑作。

がらりと作品の印象が変わりました。なんか、今まで読んだ作品は、どれもシュッとした(スマートな?)感じだったのですが、この本はあらすじの通り、ユーモアに富んだ内容となってます。私はどっちもいけるなー、と思いながら読んでました。最後のどんでん返しもしっかりあって、うーん、まんまと騙されてしまいました。だって「バーベキュー」って・・・。確かに、ウ段の口になりますけど!
主人公の秋内くんがおもしろいんだなあ。女の子慣れしていなくて、あれやこれやと妄想をめぐらせている姿が良い。うん、智佳ちゃんはかわいいからね。ひろ子さんは、女の子っぽいという描写があったのですが、なかなかにたくましいよ、彼女は・・・。
事件の謎を解くカギにもなる、カーミング・シグナル。恐怖や緊張に襲われた時にとるあくびなど無気力な行動のことなんですが、うちの犬が怒られた時とか、つまずいてこけた時とかに良くするんですよねー。「こいつ、お茶をにごしてやがるな・・・。」と思っていたのですが、あながち間違いではなかったようで。
決してハッピーエンドとは言えない。言うには犠牲が大きすぎる。ただ、不思議とさわやかに終わりました。これも秋内の煩悩パワーの成せるワザか!?


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