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読書の記録です。

「パラダイス・ロスト」

柳広司/角川書店

大日本帝国陸軍内に極秘裏に設立された、スパイ養成学校“D機関”。軍隊組織を真っ向から否定する戒律を持つこの機関をたった一人で作り上げた結城中佐の正体を暴こうとする男が現れた。(『追跡』)。ハワイ沖の豪華客船を舞台にしたシリーズ初の中篇「暗号名ケルベロス」を含む、全5篇。

「ダブル・ジョーカー」の感想は、とうとうアップできずじまいでしたが、2作目もおもしろかったです!そして待望の3作目!表紙が毎回かっこいいので、表紙も楽しみなシリーズ。文庫も同じ表紙というのがまた良いです。
結城中佐は相も変わらず、裏でものすごい存在感を放っています。
人は、秘密にされればされるほど、その秘密が知りたくなるという・・・。結城中佐がそれを見越して仕掛けたダミーがすごい。将来、自分が立ち上げる組織が、敵の脅威になることを確信してたってことだもんなー。嘘には真実を混ぜると良いという話を聞いたことがあるので、このダミーの過去にも、ちょっとくらい本当の結城中佐の過去が混ざってないかしら?と思ったのですが・・・。彼に限ってそんなことはないか。
一番良かったのは、「失楽園」かな・・・。もしかして・・・と真相に気付いても、愛を選ぶちょっとダメな感じの最後が良かった。「暗号名ケルベロス」は前半の終わりはひっぱりましたが、オチがパンチ不足・・・。
暗闇で銃を組み立てられるっていう技術が、読むたびにすごいなあと思います。彼らの能力は、記憶力とかその他色々すごいんですけど、銃の組み立てに一番そそられます。手先の器用さに憧れる・・・。
シリーズも3作目で、そろそろ終わりかな・・・という予感がなきにしもあらず。戦争が終わったら終わったで、結城中佐もスパイの彼らも、飄々と世の中を渡って行きそうだ。


「正体を暴かれたスパイなど、死んだ犬ほども役に立たない」


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