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読書の記録です。

「夜行観覧車」

湊かなえ/双葉社

高級住宅地に住むエリート一家で起きたセンセーショナルな事件。遺されたこどもたちは、どのように生きていくのか。その家族と向かいに住む家族の視点から、事件の動機と真相が明らかになる。『告白』の著者が描く、衝撃の「家族」小説。

直木賞候補作に湊さんのお名前が挙がりましたね!ちょっとびっくりしたかな・・・。
この本はドラマを先に見ていて、ある程度のイメージを持って読み始めました。
しかし、読み始めてすぐに登場人物に対する印象がガラリと変わりました。とりあえず、好感を持てる主要人物がいない。ドラマの方では、この人がこういう行動をとったのは、こういう事情があったから仕方ないんですよ、という描き方をしているのに対して、原作では容赦なく個人のエゴがむき出しになっています。主軸の遠藤・高橋家の奥様2人は、子供のことをそんなに大事に思っているようには見えないし、行動の根底にあるのは保身のみ。ドラマでは、両家の交流が描かれていて、仲が良かったからこんなに深入りしてるのかなーと思ってましたが、原作を読むと大して親しくしていたわけでもないのに(むしろ慎二も比奈子も彩花を嫌っている)、首つっこんで何やってんの?って感じでした。こりゃあ、「野次馬一家」と呼ばれても文句は言えませんわな。
私の一番の間違いは、ドラマの印象のまま、これをミステリーだと思って読んだことでした。これは、家族の話であってミステリーではなかった。がっかり・・・。誰が犯人なのか?ということは問題ではなく、これからどうするべきなのか?ということがテーマだったのかな・・・。
残された子供達はどうすればいいのか。そして、この事件はどの家庭でも何かのはずみで起こりうることなのだ。家族は再生することができるのか?
・・・と言われても、正直、登場人物たちがここまで自分勝手だと、知らねーよ、自業自得だよ、という投げやりな気分に・・・。
そういや、観覧車は、完成どころか建設予定の段階だったんですね・・・。
ドラマより原作の方がおもしろいだろう!と思って読んだだけに、がっかり感が半端ないです。


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