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読書の記録です。

「使命と魂のリミット」

東野圭吾/新潮社

父を大動脈瘤で亡くした夕紀は心臓外科医を目指し、研修医として働き始めた。だが、彼女は父の死に疑念を持っていた。父の執刀医が母と親密だったことから、その思いをさらに深める。「人間の心の限界を描く医学サスペンス。

久しぶりの東野さん。やっぱり読みやすいなあ。さすがです。物語の登場人物の感情の動きに、すっと入っていくことができました。
まあ、しょっぱなからできすぎた舞台設定でしたが!研修医って、狙った先生に必ずしも師事できるわけないと思うので、これは怨念の勝利だと見れば納得できるのか・・・。やっぱり無理・・・。
犯人も判明していれば、目的もある程度のところではっきりして、謎をとくというよりは、人間を描かれたのかなという印象。根っからの悪人はおらず、みんな反省してめでたしめでたし、な展開。・・・に見えて、後々もみなさん大変そうです。
もともと、きれいなお姉さんが好きな私は夕紀がお気に入りだったのですが、次に注目していたのがおっさん刑事の七尾さんなんですねー。あのスタンドプレーは、私が相棒だったら胃に穴があいてると思うんだけど。笑。あの熱いノリが好きだ!熱いノリと言えば、後半の西園大先生の熱きオペも良かったです。ハラハラしました。あの追い詰められようは、ドラマ「医龍」を思いだしました。あれも心臓血管外科だったような。
医療ミス・ドクターハラスメントなど、けしからん医者はたくさんいます。私も、医者の心ない言葉に心をえぐられたことがあります。いくら頭が良くたって、他人の気持ちを思いやれない人間が、こんなデリケートな仕事をしていていいのか?と思うこともしばしばあります。ただ、すべての仕事において、色々な人がいるように、医療の世界にも西園先生のように使命を全うする人がいると信じたいです。
最後に、脳内ラブ補完をしてしまう私は、夕紀と元宮が恋愛関係にはならずとも、なかなかええ感じになるんちゃうん?と勝手に期待して、色気のいの字もない夕紀さんの展開に勝手にがっくりしてました。すっぴんでも美人な設定がもったいないー!


「諦めるなっ」
西園の声が飛んだ。
「まだ何も終わっちゃいない」




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