忍者ブログ
読書の記録です。

「向日葵の咲かない夏」

道尾秀介/新潮社

小学校を休んだS君の家に寄った僕は、彼が家の中で首を吊っているのを発見する。しかし警察が駆け付けた時、死体は消えていた。「嘘じゃない。確かに見たんだ!」混乱する僕の前にS君の生まれ変わりが現れ、訴えた。僕は、殺されたんだ。

こんな小学生いてたまるかー!とちゃぶ台をひっくり返したくなったこと数え切れず。ミカにいたっては、3歳という設定。自分の歴史を振り返ってみても、中学生でもここまでボキャブラリーは無かったような気がします。
生まれ変わりには正直度肝を抜かれましたが、謎解き自体に影響があるわけではなかったので許容範囲でした。・・・そう、これだけ異常な空気を漂わせておきながら、謎解きは論理的。そこが一番驚いたところです。先生説でも丸く納まりそうだったのに、そこから2転3転・・・ところころ転がっていく推理はどこまで続くのかってくらいでした。無理があるかもしれないけど、向日葵と石けんの関係が好きだなー。
終盤は、意外な急展開に「え?え?えーっ!?」と思っている内に終わりを迎えました。ミチオ君の変身ぶりにも驚きましたなあ。百葉箱のところなんか、めっさ怖かったです。しかし、この驚きと怖さ、気持ち悪さが何ともたまらない。ホラーが意味不明なものなのではなく、ただ単に私にホラーの話の展開についていく柔軟性が無いだけだったのか!と認めることにしました。「独白するユニバーサル横メルカトル(平山夢明)」に続いて、今回もなかなかに楽しめましたよー。いいじゃん、いいじゃん、ホラーとミステリーの融合!
誰が死人で、誰が生者なのか・・・。今となっては、それも瑣末な問題のように思えます。
意外とオススメかもしれません。


「でね、僕、いよいよ死んじゃうっていう瞬間に、その神様にお願いしたんだ。人間以外に生まれ変わらせてくださいって。人間は、もう嫌ですって。」


PR