「告白」
我が子を校内で亡くした女性教師が、終業式のHRで犯人である少年を指し示す。ひとつの事件をモノローグ形式で「級友」「犯人」「犯人の家族」から、それぞれ語らせ真相に迫る。
これは大分前に読み終えていたのですが、なんだかコメントに困ってしまいまして、現在に至ります。みなさんご存知の話題作で、本屋大賞受賞の肩書きを裏切らない、とてもおもしろいお話でした。・・・というフツーな感想しか思い浮かばなくって・・・。こんな話なら、ネット上にゴロゴロしてそうだけど、いつもそんなもんだから、いいのかしら。とネガティブに自分を納得させてみました。では、レッツゴー。
学生が主人公の本を読むと、「自分がこの年頃の時って、色々真面目に悩んだこともあったけど、こんなに難しいことは考えていなかったはず・・・」と思います。小説の中の青少年は早熟だなー。やはり複雑な家庭環境が、このような子供を育むのでしょうか。学生の時の、いやーな思い出だけがよみがえってきます。地味にいじめもあったし、派閥もあったし、うざい先生もいたし・・・。これを読むと、「あの頃は良かった。もう一度戻りたい。」とは絶対思わない。笑。
加害者の少年2人は、全く別のルートを辿ります。通常は直樹ルートですかね。なかなか修哉ルートには進めないでしょう!かなり歪んでないと、こういう思考にはならないかな。私は、子育て未経験者なもんで、2人の母親については、色々と物申したいところですが、説得力に欠けるのでコメントしません・・・。
そもそもが修哉のマザコンから始まった話。さらに原点にかえると、修哉を置いていった母親にたどりつく。なので、最後の最後でそうくるか!という意外性と、確かにここまでやらないと駄目かな、という納得の気持ちが半々でした。
最後に問われるのは、復讐は果たして許されるのか、というところだと思います。・・・倫理的には、さらなる負のループを生むのでダメ、というのが正解なのかな。だけど、個人的にはこれはアリではないかと。淡々と獲物を追い詰めて狩る執念深さがすごい。ただ、復讐の手段としてHIVを持ってきたのはいかがなものかと。うーん、なんとなく、良くない感じがします・・・。
湊さんの作品は、今のところすべての話が一人称らしいですね。他の作品も気になるところですが、作風が偏っていると飽きちゃうから、ちょっとずつ読もうと思います。
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