「夢を与える」
私は他の女の子たちよりも早く老けるだろう。チャイルドモデルから芸能界へ、幼い頃からTVの中で生きてきた美しくすこやかな少女・夕子。ある出来事をきっかけに、彼女はブレイクするが…。少女の心とからだに流れる18年の時間を描く。
金原ひとみさんの「蛇にピアス」を先に読んで、「ああ、最年少受賞も話題作りかあ・・・。」となんとなくがっかりして、綿矢さんの「インストール」は読まずに来ました。映画化になっても興味も沸かず。
まあ、本当になんとなく表紙がいい感じだしー、と思って借りてきたノリだったのですが、これが予想以上におもしろかったです。読みやすい!
夕子が誕生する前から描かれており、とても丁寧に心の動きが感じられた。小さい頃はまっすぐで、でも、どんどんずれていっちゃって・・・。
芸能人とはいえ、一人の女の子。何も悪いことはしていない。・・・とはいえ、やはり大人サイドにまわってしまった私には、そんな彼女の思いよりも、彼女を商品として見て、彼女の身勝手によって振り回されているマネージャーの心労の方がわかってしまうのです。自由がない生活。だけど、それと引き換えに人気を手に入れたのだから、いまさらそれがイヤだったなんて、自業自得でないかい?と。悲しいやら安心したやら・・・。色々な選択肢があって、こちらを選んでおけば、ここまで落ちなかったかもしれない、と思ったりもしたのですが、結果的に最後には一緒だったんだろうなあ。避妊具に細工をした、そもそもの始まりから間違いを犯していたのかもしれない。この母にしてこの子あり。
「そう、嘘ばかりだ。だから夢なんだよ」
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