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読書の記録です。

「時の罠」

/文藝春秋

知ってる作家さんばかりだったので、ハズレはないだろうと踏んで読みました。題名からミステリー系を想像していましたが、そんな感じもなく。どこらへんが罠なのか不明です。
「タイムカプセルの八年」(辻村深月)タイムカプセルの話(←題名を見ればわかるか・・・。)主人公は大学教授の父親で、辻村さんのお話でこの年代の方が主人公って珍しいな~と新鮮な気持ちで読みました。意外にも上手くてびっくり。息子を持つ父親の機微が良く伝わってきました。不器用だけど、ちゃんと息子のことを考えている。優しくしたり、べったりするだけが愛情じゃないよなーと思いました。先生はダメダメでしたね。こういう外面だけいい先生、たくさんいそう。逆にオヤジの面々はカッコ良かった!そういえば、自分のタイムカプセルってどうなったのかな?とっくに開ける予定の年をオーバーしてるけど・・・。
「トシ&シュン」(万城目学)俊(しゅん・男)と瞬(しゅん・女)のカップルが主人公。小説家を目指す俊と女優を目指す瞬。どちらも芽が出ないまま年月が経つが、お参りに訪れた神社の神様が、2人を夢へと導く。・・・のですが、2人が夢をかなえると、別れてしまうことが判明。それでも夢を叶えさせるべきか?神様が行ったことは壮大なシュミレーションで、2人の時はまだ動いていない。見えないものに導かれる運命もいいけれど、チャンスを掴んだのも努力をしたのも当人たちで、当然の結果として成果がついてくればいいなと思います。同じパターンを2回読むのは正直飽きる。笑。最後のオチは・・・個人的にはなくてもいいかなーと思ったり。なんせ、私は縁結びの神様は信じてませんので(キリッ!)!
「下津山縁起」(米澤穂信)実は米澤さん目当てだったんですが、小説なのかなんなのかという形式で、びっくりしました。電気信号が確認できれば、その物体に意思はあるのではないか?という前提で、山が長い期間をかけて人間に働きかけ、他山を消滅させたという・・・。意外性はありましたが、これがおもしろいかというと、ビミョー。
「長井優介へ」(湊かなえ)一度読んだことがありました。4作品しかないのに、タイムカプセルネタがかぶるのはいただけない。湊さんをミステリー作家として扱うのは、間違いではなかろうかと思う今日このごろ。
余談ですが、表紙は猫のシルエットだったんですね!ずっと時空の裂け目だと思ってました。時空の裂け目って何なんだ、と自分に聞きたい。


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