「有頂天家族 二代目の帰朝」
狸の名門下鴨家の三男・矢三郎は、親譲りの無鉄砲。ある日、老いぼれ天狗・赤玉先生の跡継ぎである“二代目”が英国より帰朝。狸界は大混迷し、平和な街の気配が一変する。しかも、人間の悪食集団「金曜倶楽部」は、恒例の狸鍋の具を懲りずに探している。阿呆の誇りを賭けて、尊敬すべき師を、愛する者たちを、毛深き命を守れ!
待ちに待った毛深い続編!
めくるめく、やはらかい毛玉ワールドを堪能させていただきました。
今回は、赤玉先生の跡継ぎとされていた二代目が京都へ帰ってきます。昔、赤玉先生と二代目は同じ女性を取り合って大喧嘩してから、絶縁状態にあった模様。同じ頃、日本を離れていた弁天も戻ってくる。今度は弁天を取り合うのかしら・・・という私の予想は大ハズレ。二代目と弁天は、お互いに相手が大嫌いで、こちらも大喧嘩。最強の弁天が二代目にあっさり負けて、びっくりです。赤玉先生は、弁天にゾッコンなんですけどねえ。
一方、狸界でも、次期偽右衛門(京都界隈の狸のボス?)を巡って、下鴨家長男の矢一郎は大忙し。父・総一郎を狸鍋にした叔父との確執も、クライマックス!陰謀だけでなく、狸界は恋の嵐も吹き荒れる!赤い糸でぐるぐる巻きになったカップルも・・・。矢三郎は地獄に行ったり、五山送り火で空を飛んだり、逃亡したり、大忙しです。随所にあらわれる、狸的表現もみどころです。尻にキノコが生えたり、もふもふしたり、やわらかかったり、尻の毛をむしったり。吹けばとぶような白い毛玉の長老たちも元気です。笑。
お気に入りの矢四郎くんの出番が少なかったなあ。残念。次男の矢二郎は、相も変わらずカエル三昧。でも、いい奴なんだよなあ。カエルサイズの将棋駒ってどんなだよ!下鴨家の四兄弟は本当にいいチームワークだなーと思います。最後に矢一郎が虎になって矢三郎を助けに行くところなんか、かっこよかったね。玉蘭も、矢一郎の良き理解者でいい夫婦になりそうです。末永くお幸せに。
怪しい人間の幻術師・天満屋が登場し、矢三郎は化かされ返されたり苦戦します。天満屋と、もう一人の真犯人が金曜倶楽部、天狗たち、狸たちを翻弄しますが、最後は2人とも仲良く地獄に連れて行かれてスッキリしました。ざまあみやがれ。
矢三郎も、破談になった海星との縁談が復活し、まとまったかな・・・?と思ったのですが、最後のシーンでまだ弁天に心残りがあるのかな?と心配になってしまいました。海星は口は悪いけど、すっごいいい子なんだから!また破談なんてことになったら、ダメだからね!海星を見ると、矢三郎の化けの皮がはがれちゃって、彼のプライドを傷つけると思ったから、ずっと姿を隠してたなんて健気過ぎるやん!狸は健気過ぎる!
なんとなく、あとを引く終わり方をしているなあと思っていたら・・・。第三部があるんだって!天地鳴動、執筆未定って。笑。お願いしますよー、森見さん!弁天がしょんぼりしたまんまなんて、スッキリしないよう!
「蛙の子は蛙、毛玉の子は毛玉だ。」
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