忍者ブログ
読書の記録です。

「本格ミステリ10」

本格ミステリ作家クラブ編/講談社

10冊目が出た、ということは10年経ったということで・・・。・・・。
今回は残念ながら、物足りない作品が多かったです。
「サソリの紅い心臓」星座ウンチクのアレだ・・・。と最初からイヤな予感がひしひしと。トリックもうん、そうですね、って感じでインパクト薄。身代わりってよくある話ですし。
「札幌ジンギスカンの謎」これもあるあるパターンのような気が。緊張して雪を食べ過ぎたって・・・。おいおい・・・。
「佳也子の屋根に雪ふりつむ」ありえない偶然パターン。途中まで幻想的ないい雰囲気だったのに、謎解きの段階でぶち壊し。まあ、現実の殺人の動機なんて、ほとんど金か痴情のもつれだしねー。
「我が家の序列」ミステリ・・・というカテゴリーではいただけないが、犬小説としては大変よろしかった。こういう路線だと、動物死んじゃうんですけど、死なないでかついい話にすることはできないのかしら?
「《せうえうか》の秘密」《せうえうか》って何?何?と思って読み始めたら、あっさり分かって、しかも何故歌詞が改変されたかという謎に対する答えがあまりにも真面目で物足りなかった。私としては、宝物探しとか、もっとくだらない意味があったとか。・・・学生はバカであって欲しいんですよ。・・・下ネタじゃなかっただけ良かったけど。
「凍れるルーシー」雰囲気勝ちの1作。なんかずいぶん前に読んだ「火蛾(古泉迦十)」を思い出した。わかるような、わからないような・・・っていう。信仰心は未知なる感情。想像で補えるように見せかけて、あなたには理解できないでしょう?と突き放す最後はなかなかおもしろいです。
「星風よ、淀みに吹け」私はSFに明るくない人なのですが、小川一水さんのお名前はもちろん知っています。だから、ミステリ短編に?という違和感を感じていましたが、なかなかどうしてクローズドサークルに特有のみんなが疑心暗鬼状態が良かったです。作品中、一番人間の深いところが描かれていたなあと思います。ところで、こんな6人中2組もカップルがいるグループって居心地悪そうだなあ、なんて思ったりした。
「イタリア国旗の食卓」激アルバイターさんの話をすっかり忘れていたので、誰が誰やらという感じでした。すべては修也くんが誰の前にどのお皿を置くかにかかっていたわけで・・・。秀樹くんの前にそば粉入りの料理を置いてしまう可能性もあったわけで・・・。本当に無駄な犠牲を出したくないのならば、もっと確実に仕留める方法を考えるべきだよなあ。自分でサーブしに行くとか。不自然かな。


PR