「龍神の雨」
人は、やむにやまれぬ犯罪に対し、どこまで償いを負わねばならないのだろう。そして今、未曾有の台風が二組の家族を襲う。
直木賞受賞おめでとうございます。何かと話題の尽きない道尾さん。今回も見事に騙されてあげました!いや騙されました!
一番気になるのが「ところで、あの体操服に関するフォローはないのかい?」というところ。例によって、ミスリードでこいつなんだかアブないぜ?という扱いを受けていた辰也くんが、実は色々誤解だったんだ、楓にほのかな想いを寄せているだけの男子だったんだよ、というフォローが後半に用意されています。しかし、体操服がなぜ引き出しにしまわれていたかについては、一言のフォローも無かったような・・・。なんか、消しゴムとかだったらかわいいけどさ、体操服とか靴とかやばいでしょ。やってないことの方が多いけどさ、体操服は盗んだんだね・・・とそこが気になって気になって。本筋より「体操服を盗むことは、健全な男子中学生がとる行動として一般的か?」という問題の方が私にとって大きかったというか。こんなことを熱弁している私の方が変態っぽいな。笑。やめよ・・・。
それにしても、店長の妄想パワーには驚きました。どこが一番怖いって、店長の家のシーンが一番トリハダものでしたね!最後はなんだかもやっとした終わり方で残念だったなあ。すべてはすれ違いから生じた誤解によるもので、もっとお互い向き合っていればこんなことは起きなかった。でも、じゃああの場面で違う選択ができたのか、あの時別の行動がとれたか、というとそれは無理な話で、なるべくしてこうなったという結末なのだろうと思います。
雨の日は、なぜか気分が落ち込んでしまう・・・。そんなレイニーブルーを感じられる一冊。でも雨がやんだあと光が差し込むように、ちゃんと救いの手も用意されているのです。
PR