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読書の記録です。

「理由あって冬に出る」

似鳥鶏/東京創元社

吹奏楽部は送別演奏会のため練習を行わなくてはならないのだが、幽霊の噂に怯えた部員が練習に来ない。幽霊を否定する必要に迫られた部長に協力を求められ、葉山君は夜の芸術棟へと足を運ぶが、予想に反して幽霊は本当に現れた!にわか高校生探偵団が解明した幽霊騒ぎの真相とは?

ジャケ買いな一冊。おもしろい題名だなーと。幽霊のことだったんですねー。青春ミステリー。意外にビターな終わり方でした。ミノ、可哀想に。
舞台は文化部が集まっている芸術棟。そこで幽霊が目撃される。真偽を確かめるため、美術部の葉山君は吹奏楽部の高島先輩と秋野、友人のミノ(演劇部)とともに張り込みをすることになるのですが、本当に幽霊が現れちゃったよ、おい、というのが事件の始まり。そこで探偵役として名乗りをあげたのが、文芸部部長の伊神さん。フルートを吹く幽霊、壁男の正体とは!?という謎と、イントロで消費者金融のお話が出てくるのですが、それが一体どう関係あるのか?という謎もありました。
怪談が2種類あって、それぞれにトリックがあり思惑があり、関与していた人間があり・・・とごちゃっとしていた感じがします。その積み重ねが収束していたら少し感じ方が違っていたかもしれない。あとはキャラクターですが、伊神さんは確かに濃いかな?お店に入って何も注文せずにいられる度胸はうらやましいかもしれない。あとは、女好きの東くんなんかムカつきましたねー。主人公は、特に何も・・・。色々出てきてるんですが、造作が似たようなタイプが多かったので、これまたごちゃっとしていて後に残らないという残念な結果に。
風変わりな題名から、もっとインパクトの強い内容を期待していたのですが、青春ミステリーだね、という印象しか残らず。ミノが善意でしていたことが、実は・・・という裏切りは意外性があっておもしろかったですけど。豊中の偽装自殺あたりは、何だか陳腐だなあと。エピローグもとってつけたようで、蛇足だにゃー。
ミステリーとしては色々と不満が残りましたが、高校生がつるんで、あーだこーだやってる雰囲気は良かったので、今後の作品に期待したいところです。


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